2023年には過去最高の売上も…ヤマハがゴルフ用品事業"完全撤退"の限界と誤算――中堅メーカーが直面した「質」だけでは越えられない壁
同社のコーポレート・コミュニケーション部に取材すると、2022年3月期の売上は70億円、事業利益11億円、2023年3月期は同101億円、22億円と、過去最高だった。ところが、2024年に入ると売上は49億円にとどまり、事業利益はマイナス11億円と一気に急落、2025年も前述したようにマイナスとなる。
今期の第3四半期(2025年4月~12月)は、売上が14億円・事業利益はマイナス9億円となり、3期連続で赤字になることが確定した。このことが、今回のゴルフ事業撤退の経営判断に至ったことは想像に難くない。
この2023年から2024年の大きな落ち込みについて、ヤマハは「コロナ禍明け、70~75%を占める韓国での売上が非常に高く、この特需が終わったことが一番大きかった。さらにリリースにある通り、海外ブランドとの競争激化、円安による部材のコストアップ、利益率の低下など、複合的な要因がある」と語る。
ゴルフ市場を調査・分析する矢野経済研究所のフェロー・三石茂樹氏はこの話をこう裏付ける。
「確かに、2022年が1163億円、対前145.9%だった韓国ゴルフクラブ市場が、2023年には797億円、対前68.5%と大きく落ち込んだ。ヤマハのゴルフ事業撤退は、韓国ゴルフ市場のコロナ禍による急成長と、その後の急激な減退が一因になっているのではないか。余剰在庫が一気に損益を壊す (悪化させた)というかたちだ」
国内の市場は悪くないが…
だが、注目したいのは、国内ゴルフ用品市場全体を見ると、必ずしも落ち込みが大きいというわけではないという点だ。三石氏はヤマハの撤退に疑問を呈する。
「コロナ前、2019年の国内のゴルフ用品市場は3036億円。それに対し、2024年は3434億円と、コロナ前を上回る水準にある。しかも、我々が把握しているヤマハの国内のマーケットシェアは3.2%で、少なくとも撤退フェーズに入る数字ではない」
ヤマハがゴルフで生き残る道はなかったのか。


















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