新NISAで爆売れ《オルカン》が抱える"3つの死角"、運用担当者が「これ1本で老後は十分ではない」と語る真意
なぜ運用会社は自社ファンドについて「1本では足りない」と言ったのか。ファンドマネージャーや竹川氏の発言から、3つの論点を読み解いてみよう。
1つ目は為替リスクだ。
竹川氏はQ&Aセッションで「為替のリスクもあって、リタイアに近くなってきたときにも1本で大丈夫なのか」と問いかけた。オルカンもニッセイ外国株式も、投資対象のほとんどは米国株をはじめとする外貨建て資産だ。積み立て期には円安が追い風になる。だが取り崩す段階で円高に振れれば、円換算の資産価値は大きく目減りする。
日本で暮らす人は、年金も給与も日本円で受け取り、住居費も医療費も日本円で支払う。その人が保有する金融資産の大半が外貨建てというのは、「世界に分散している」つもりでも、生活通貨との関係では偏っているともいえる。為替ヘッジのないファンドを「1本だけ」持つことのリスクは、出口が近づくほど高まるのだ。
2つ目は、「世界分散」のつもりが「アメリカ集中」になっている現実だ。
竹川氏は「今回5位以内に入賞したファンドはすべて時価総額加重になっている」と指摘した。時価総額加重平均とは、株価が上がった国や銘柄の比率が自動的に高まる仕組みである。その結果、オルカンの中身は米国株が6割を超え、日本株は約5%にすぎない。「全世界に分散しているから安心」と思っていても、実態としてはアメリカ経済の浮沈に大きく左右される構造になっている。
会場に集まったファンドマネージャーの中には「半分以上が米国株なのだから、自分個人としては米国株インデックスに投資している」と語る人もいた。プロの目から見れば、オルカンと米国株インデックスは値動きが似通っているということだ。
3つ目は「出口戦略」の不在だ。
三菱UFJアセマネの村松氏は「例えば分配を出すファンドをどう考えるか、リスクを落としたファンドをどう考えるか、よく議論しています」と明かした。定期的に売却して生活費に充てるのか、分配金が出るファンドに乗り換えるのか、債券を組み合わせてリスクを下げるのか。こうした「出口」の設計について、運用会社自身がまだ模索している段階なのだ。
それでも「オルカン最強」が揺るがない理由
では、なぜこれほどまでにオルカンは支持されるのか。最大の理由は圧倒的な低コストだ。
信託報酬は年0.05775%以内。100万円を預けても年間の手数料は578円にすぎない。しかもeMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」と明言しており、他社が下げれば追随して下げてきた実績がある。「他社さんが下げたら、ウチも下げます」。会場でもそう語られた。


















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