今年の正月、会社が潰れるんじゃないかと不安感に襲われました--森正文・一休社長(第5回)

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去年の12月にお会いしたとき、当社と組んでアイパッドを使ったサービスができるのではないかという話をしたら、「僕は今まで友人に仕事を頼んだことはない」と怒られてしまいました。「そもそも人にお願いするなら自分で実験してみてうまくいくというのがわかってからだ。おまえは頭で考えすぎるようになった。ホテルには最近行っているのか」というご指摘も。
 
 さらに翌日、お礼の電話をしたら、「まさか社長室から電話してないよな。ホテルからじゃないとおかしい。おまえはいつから現場を離れるようになったんだ」とお叱りを受けました。そのあと30分電話を切らせてもらえませんでした(笑)。

今でも僕は毎朝8時30分ごろに出社して、空いている時間がある限りはホテルに営業に行っているんですが、それは伊藤さんの影響が大きいです。やっぱり情報は現場に行かないとわかりません。電話やメールでは伝わらないものや顔を見ないとわからないことがたくさんあります。

--他の経営者ともお付き合いはありますか。

ファーストリテイリングの柳井正さんともお会いしています。伊藤さんと柳井さんはスーパー創業者ですよね。彼らを突き動かすものは創業者特有の恐怖だと思います。伊藤さんは最高益を更新しても「人口動態が変わってくるしこの先ダメかも」とおっしゃるときがあります。柳井さんも「ユニクロが潰れるんじゃないかという夢を見て朝の4時に起きてしまい、早く会社に行きたいと思ったことが何度かある」とおっしゃっていました。

僕も恐怖に襲われることがありますよ。うちは年末年始が完全に休みになるのですが、今年のお正月は奥さんと子どもが早く寝てしまい、1人で換気扇の下でたばこを吸いながらウイスキーを飲んでいたんですね。そのとき、「今年一休が売れなかったらどうしよう」とか「次の地震が東京だったらどうしよう」と考え出したら奥歯が痛くなるような恐怖に襲われてしまい、ネガティブスパイラルに陥ってしまった。

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