「生徒を殴り、説得する教師」→「一緒に悩み、伴走する教師」へ…ドラマで描かれる"理想の教師像"はなぜここまで変わったのか
『御上先生』を始めとする学園ドラマの監修経験のある西岡壱誠は著書『《熱血先生》から《官僚先生》へ 学園ドラマは日本の教育をどう変えたか』において、「(2010年代以降の教師は)2000年代のスーパーヒーローのような先生たちのドラマではなく、普通の人として描かれるようになったのが特徴的だ。1970年代のドラマのように熱血というわけでも、2000年代の『GTO』『ごくせん』のような劇的さもないが、素朴に教育と向き合う姿勢が描かれる場合が多くなった」と分析する。
たしかに、御上先生の素朴さゆえに本当の意味で「生徒と一緒に考える」という行為が成立しているのかもしれない。
「不満より不安」な令和の若者
御上先生の教師像は、フィクションにとどまらず、現代の若者が置かれている状況とも強く接続している。
「Z世代」という言葉が浸透しているが、そもそも今の若者にはどのような特徴があるのだろうか。キーワードは「不満より不安」だ。
筆者はとある予備校で、教室マネージャー業を本職としている。業務内容は校舎運営や生徒募集など多岐にわたるが、最も多いのは「生徒(中高生)との対話」だ。生徒と様々な会話を日々交わすなか、特に受ける相談は下記のようなものが多い。
「〇〇先生には褒めて頂いてるんですけど、それでも不安で……」
「模試の判定は良いんですけど、合格する自信がなくて……」
「やりたいことが見つからなくて……」
これらに共通すること。それはとにかく「不安である」ということだ。
予備校なので勉強の意識がそれなりに高い人が多く、それゆえ「この授業が分かりにくい」「校舎をこのように改善してほしい」といった不満も多く出そうだが、私の予備校ではほとんどない。中高生たちは「何かが嫌だ」という不満ではなく、「このままで大丈夫なのか」という漠然とした不安を抱えて悩んでいるのだ。


















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