「夫は病院を、息子は自宅を勧めるけど…」 延命治療を拒否した妻が《最期の場所》を悩む理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

僕たちや家族にできるのは両方の準備をして、本人がどちらも選択できるように支援すること。節子さんの体を楽にすることには限界があるが、心の状態は家族と本人がもっと本音で話をすることで楽にできる。いっぽは節子さんと家族が出した本音の希望を叶えるために全力で支援する――。

靖人さん一家は初対面の僕の話を受け入れてくれて、今後の家族といっぽの方針が決まった。

残された時間はもうわずかーー

自宅で迎える本当に幸せな最期のとき: 在宅緩和ケア医が看取った「ハッピーエンド」
『自宅で迎える本当に幸せな最期のとき: 在宅緩和ケア医が看取った「ハッピーエンド」』(河出書房新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

それからどの家族にも必ず勧めている「感謝を伝える話」もした。

「お母さんの手を取って、『愛しているよ』『生んでくれてありがとう』と言ってあげてください。お母さん、喜びますよ。どんな薬よりも効きます」

節子さんは黄疸と下半身のむくみがさらに増悪しているが、アンペック座薬が効いて歩いてリビングまで行くこともできる。寝たきりにはなっていない。僕が訪問すると、ベッドに座って話をする。

「おじいちゃんが今、もう、目いっぱいなのがわかるんです。大変だと思う。そんなおじいちゃんを見ていると私もつらい。病院でもどこでも心が安らかにいられるところがいいです。病院がいいのかと思っています」

次郎さんも答えが出ない。

「本人の妹や親戚はみんな入院がいいと言っていたし、自分もだめなんだよ。だんだん動けなくなってきているのを見ているとつらいんだよなあ」

節子さんに残された時間はもうわずか。お互いを思いやる気持ちがすれ違う。

【前回の話を読む】「67歳のときに肝臓がんの診断」 しかし延命治療を拒否した母…《"何もしない"という選択》をした彼女の真意

萬田 緑平 在宅緩和ケア医、緩和ケア萬田診療所所長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まんだ りょくへい / Ryokuhei Manda

1964年生まれ。群馬大学医学部卒業。群馬大学付属病院第一外科に所属し、外科医として手術、抗がん剤治療、胃ろう造設などを行うなか、終末ケアの大切さを痛感。2008年在宅緩和ケア医に転身して緩和ケア診療所に勤務後、2017年、がん専門の緩和ケア 萬田診療所を開設。亡くなるまで自宅で暮らしたい人を外来診療と訪問診療でサポートする。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事