「夫は病院を、息子は自宅を勧めるけど…」 延命治療を拒否した妻が《最期の場所》を悩む理由
「私は、ただここで寝ていたい。このまま眠ったら、すうっと逝けたらいいと考えているんです。それが一番の望みなんです。今、体全体が苦痛なの。でも眠っているときは楽なんです。そのまま逝けたらいいのになあ。酸素を始めて少し楽になったけど、画期的に動けるようになったってほどのものではないんですね」
静かに語る節子さんの顔は妻の顔であり、母の顔だった。自分の希望を語るより夫や息子への思いを語る。夫のことをおじいちゃんと呼ぶ感じも自然で、年季の入った夫婦愛を感じさせる。
家族のことを思って出た言葉なのか?
「おじいちゃんは入院を勧めるんです。息子は勧めない。息子は私の芯の部分をわかってくれるの。ただ、私はほら、もう家の中のことがなくなっちゃったでしょ。しかも、うっかりトイレが間に合わなくてお漏らししちゃうときもあるし……。
昨日は嫁の尚子さんが来て、手伝ってくれたんですよ。でも、そんなことさせるのはかわいそうじゃないですか。おじいちゃんも『尚子さんにそんなことさせたくない』と言っています。その気持ちは私もあります」
「緩和ケア病棟をご希望だと聞きましたが、その場合、空きベッドの都合上、好きなときに入院できるわけではないので、どこかで入院予定日を決めなければならないし、もし気持ちの切り替えができていなくても、決めた日程で家を出ることになります。そういうことをイメージはできますか?」
「緩和ケア病棟への入院は不安もあります。でも、家族の環境を変えてあげたいの。昨日からずっと考えているんです。家か、病院か。人に迷惑かけるかどうかじゃなく、自分がどちらにいるのが楽かどうか……」


















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