常識を覆す貨幣論との鮮烈な出会い
デヴィッド・グレーバーの『負債論』やフェリックス・マーティンの『21世紀の貨幣論』を読んでいると、負債に関する常識がひっくり返されるような爽快感があった。
こんな考え方があるのか。そこにあったのは私の貨幣に対する考え方とはずいぶん違うものだった。一体、どうなんだろう。彼らが語っていることはどこまで貨幣の本質を穿っているのだろうか。
私は、経済の専門家ではないので、自分の体験に照らしながら、貨幣について考える他はなかった。そして、考えれば考えるほど、知れば知るほど、貨幣はその不可思議な性格をあらわにしてくるのだった。
MMTが、Modern Monetary Theoryの略称であることは誰でも知っている。そして、MMTなるものは迷信みたいなトンデモ理論であるとか、MMT理論に基づいて国債を大量に発行すればハイパーインフレになってしまうと指摘する識者も多かった。
しかし、上記の2冊には、貨幣に関する考え方が根本から覆されるような鮮やかなロジックが展開されており、納得性の高いものであった。MMTが貨幣理論の世界を席巻したのは、当然だったと思う。
とはいえ、どれほど鮮やかな論理であったとしても、MMT理論は、現実の分析によって検証されうるものなのだろうか、あるいは経済の歴史が、この理論の正しさをどこまで証明しうるのかということについては、これまで正面から実証している書籍は多くはなかったと思う。
これを実証するためには、負債とGDP、国家財政と国民所得、経済成長と貧富格差に関わる長期的なデータの追跡が必要だったからである。



















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