Modern Monetary Theoryは、現代貨幣理論と翻訳されているが、それが意味するのは、現代の、つまりは最新の貨幣理論ということなのか、それとも現代貨幣というものの理論なのか。
つまり、Modernは、Monetaryに係る形容詞なのかTheoryに係る形容詞なのかということが、私が最初に引っかかったことだった。そして、いくつかの解説書にあたって私が得た結論は、これが新しい理論ということではなく、現代貨幣(Modern Monetary)というものをどのように考えたらいいのかということであることだと了解した。
現代貨幣というものがあるのなら、古典的な貨幣というものもあるはずである。貝殻や石器が貨幣を代行していた時代から、現代のデジタルマネーに至るまで、貨幣は時代に応じて、その姿も、意味も、役割も変化してきたのだ。
では、現代における、貨幣とはどのようなものであり、社会の中でどのような働きを持ち、どんな仕方で流通しているのか。そもそも現代の貨幣とは何なのか。
現金はマネー全体のわずか1割
本書の、冒頭近くに、アメリカのM2(将来的に現金化できるものを含む広いお金)の構成要素を示す円グラフが出てくる。何気なくこのグラフを見ていると、なるほど流通現金、定期預金や、個人向けのファンドなどの割合が示されているだけのものだが、このグラフは実に意味深いお金の秘密も語っている。
これがM2の実態を示しているということなら、M1というものもあるはずである。現金や普通預金などのいつでもすぐに使えるお金のことをM1と言う。そうか、私は、お金とはM1のことだと思っていたわけである。
しかし、だれかに貸し付けた証拠として手元に残った借用書もまた、借用期限がくればお金になる。M2とは、M1に加えて、少し時間がかかるがいずれは現金化できるお金を含めたものを言う。
この円グラフは様々なことを語っているが、もっとも顕著なのは、流通現金はM2全体の1割に過ぎないと言うことだろう。これはアメリカの実態だが、現代の資本主義先進国ではどこでも事情は似たり寄ったりというところである。
つまり、流通しているハードカレンシーは、現代貨幣全体から見れば、微々たるものだということである。


















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