例えば私の会社が、銀行から1000万円の融資を受けたとする。それは純然たるお金に関わる取引である。
しかし、銀行は1000万円の札束を私の会社に用立ててくれるわけではない。銀行がすることは私の会社の預金通帳に、1000万円と印字するだけである。
もし、銀行は融資のたびに、現金を準備しなければならないとすれば、上記の円グラフはまったく違うものになるはずである。
しかし、実際には印字するだけなのである。私の会社が現金を引き出す分だけの準備金があれば、問題はないというわけだ。
そして、さらに重要なことは私の会社が1000万円の負債を抱えた瞬間に、私の会社の口座に1000万円の入金が実行されたということである。
実際に1000万円の流通現金が介在せずに、会社の負債が、通帳への印字によって一瞬にして1000万円というお金を作り出してしまったわけである。
「マネーは負債によって作り出される」というMMTの重要なポイントがここで語られていることである。
このことは、単に私の会社だけの話ではないのは言うまでもないだろう。国中のほとんどの会社は負債を抱えながら操業しているわけであり、その額は膨大である。負債が大きくなればなるほど、生産は活発になり、GDPも伸びるということなのだろうか。
本書では、各国の総負債と、GDP、対GDP民間負債の関係を、過去半世紀にわたって追跡したグラフが掲載されている。確かに、負債の総額と、GDPの伸びはリンクしている。GDPの伸びは負債に依存していると言えるのかもしれない。
「家を売却」「定期預金を全解約」で返済
負債が急激に伸びてゆけば、金利も上昇する。
しかし、経済が停滞しているときは、金利は低く抑えられている。銀行は、借り手を探して、市中の会社に営業をかける。
日本の1990年代以降は、GDPは伸びず、長期的なデフレ状況に陥っていた。会社としては、金利が0に近づいている今こそ、金の借りどきだと思うかもしれない。
そして、私も、数千万円の銀行融資を受けたのだった。高金利のときの返済の苦労を知っている経営者ほど、超低金利の金に飛びつくのは当然だったのかもしれない。
結果、私は自分の持ち家を担保に入れて、融資を受けたわけだが、後にそれが仇となって、生涯に積み上げてきた私のほとんどすべての資産を失うことになった。
会社を清算するためには、家を売却し、定期預金をすべて解約して、借金返済の資金を作らなければならなかったのである。


















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