「部長が生成AIを神格化」→部下が呆れ果てて退職… 《AI依存》が加速する"3つの背景"とは

✎ 1〜 ✎ 247 ✎ 248 ✎ 249 ✎ 250
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

依存は、判断力の低下を促します。自分以外の何かが決定してくれるなら、自ら考えるという機会が減り、あーでもないこーでもないといういわゆる試行錯誤を繰り返すことが少なくなります。すると必然的に使わない機能が弱ってしまいます。

いやそんなことはない、自分自身が問いかけを行い、その答えを鵜呑みにするわけではなく参考程度にしているだけだと気軽に考えているかもしれません。

しかし、一定のアルゴリズムで、答えが偏ることは十分に考えられます。

例えば、「ひざ痛」と一度でも検索すれば、自分の端末には、膝に効くサプリやサポーター整骨院などの情報があふれかえります。些細なことでも、そのようなフィルターバブルが起こるのです。それが思考や価値観だったらどうでしょう。偏った思考に気づかずに邁進してしまう可能性は高くなります。

AIへの過信が引き起こす「信頼関係の崩壊」「孤立」

マーク・トウェイン著の『人間とは何か(What Is Man?)』は、私の学生時代からのバイブルでもあるのですが、この本のメッセージは、AI時代の今こそ強い意味を持つと感じます。書籍のメッセージを元にすると、

「人間の判断は環境に左右される」(AIの情報によって影響を受ける)
「自由意志は思っているほど強くない」(一定の回答を繰り返されることで思い込む)
「人は自分の信じたいものだけを信じる」(求めている答えが出るまで問いかける)

結果として、AIなしでは決断できない状態に陥ることになれば、使っている機能に使われている現実が見えてきます。

そして、「AIが言っているから正しい」「あなたの意見よりAIのほうが信頼できる」

こうした態度は、周囲の尊厳を傷つけ、関係悪化を招くことになるでしょう。上司に相談しないでAIにアドバイスを求めれば、じわじわと対人コミュニケーション能力の低下や職場の信頼関係の崩壊を引き起こすことにもなりかねません。

こうした傾向は、長期的には、対人関係のストレス耐性を下げ、孤立感を深めるリスクとなります。

AIを「使う側」でい続けるためには、あえて不確実さの中で考え、迷い、選ぶという行為を手放さないことが、これからの時代にますます重要になっていくのだと思います。心身共に健全でいるために求められるのは、「曖昧さに耐える力」なのかもしれません。

この連載の記事一覧はこちら
大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおの もえこ / Moeko Ohno

公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。内閣府などの官公庁をはじめ、大手企業等で6万人以上に講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス・ハラスメント対策」を提供している。一般向けにメンタルアップマネージャ®資格講座を実施。著書に51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事