2年間頭を冷やした後、沙織さんは1人の男性と付き合って別れ、36歳のときにマッチングアプリを始めた。28歳の部下に「恋愛の狩りには出ないんですか?」とけしかけられたのがきっかけだが、気が進まずに疲れてしまう。36歳のとき1カ月間、37歳で1カ月間、さらに38歳で1カ月間と季節行事のような婚活だったという。
「あまりに気が進まないので、ゲームとして面白くしようと思いました。テーマは『価値を盛らない』こと。“私”という売りづらい商品を、虚偽広告なしで売ることができたら面白いじゃん、と思ったんです」
率直なのかこじれているのかよくわからない人物である。しかし、類は友を呼ぶのか、沙織さんと似たような傾向の男性が「いいね!」をしてくれた。冒頭で述べた真人さんだ。
「夫」役から「妻」役へ
「プロフィール写真が忍者みたいな服装をしてニンニンしているのが強烈でした。しかも、笑いすぎて顔の原型がわからなかったです」
常人であれば「ふざけている。本気じゃない」と判断して切り捨てるところだが、沙織さんはそのような固定観念を持っていない。「取り繕っていない。その人らしさが匂う」と独自基準の判定をして、「いいね!」を返した。
「会ってみたら、好みでした(笑)。超かわいい!と思いましたね。彼は芸術系の大学を出て職人をしているのですが、女っぽい見た目なんです。うまく言えませんが、ベテランの女形みたいな外見です」
真人さんは離婚したばかりで子どもはいない。深く考えすぎるところが自分と似ていると感じた沙織さんは、彼に心惹かれるようになった。しかし、真人さんは恋愛では受け身のタイプだったようだ。半年ほどデートを重ねても手を握ろうともしない。こじれてはいるが「白黒つけたい」性格の沙織さんは行動に出た。
「私のことを女性だと思っているのか、単なる茶飲み友だちだと思っているのか。どちらなのかを確かめたくて、『私は今夜、あなたの裸が見たいです!』と言ってしまったんです。もう少し言いようがあったかと思いますが、彼はなぜか軽く応じてくれました。『じゃ、ホテルに行きましょうか!』と。不思議な人です」
不思議さではどっちもどっちだと筆者は思うが、無事に結ばれて同居している現在は「毎日が幸せです」と沙織さんは断言する。賃貸マンションを借り、共同口座に同じ金額をそれぞれ振り込み、「ほぼ専業主婦」の沙織さんが家事をほぼすべて担っている。



















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