「14年の同性愛」と「ファザコン」―父親の顔色をうかがって婚姻届を出さない資産家娘41歳の"こじれた葛藤"

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「身長は170センチ以上あって、声も低くて、いつも男っぽい服装。体は女性だけど心は男性なんです。部活で見せていた才能は素晴らしいものでした」

高校卒業後に親しくなってからは、雅美さんの恋愛相談を受けるようになる。女の子を好きになったがどうすればいいのか、と。沙織さんは自分も同性と付き合ったことがあると打ち明けつつ、雅美さんの回りくどい恋愛に面白みを感じず、「(相手は)私にしとけ!」と言ってしまった。

本当は沙織さんに好意があったという雅美さんも喜んで同意。交際が始まった。女性同士であることを除けばありがちな展開である。ちなみに、沙織さんは雅美さんを「彼女」ではなく「彼」と呼ぶ。

14年間の交際が終わるまで

「同棲もしていましたが正直言ってしんどかったですね。彼には男性性もなければ女性性もないからです。嫌な言い方ですけど、ジェンダーで求められる役割ってあるじゃないですか。男性は打たれ強い、とか。それを彼には要求できず、かと言って性的に女性として見ることもできませんでした」

沙織さんには父親譲りの生活力があり、共同生活における様々な重要判断はすべて沙織さんが担った。車の運転もして、稼ぐ力もあった。一方の雅美さんは仕事も家事もできることが限られている。

「彼には発達障害の傾向があり、とにかく片付けができないんです。モノが多い生活環境がダメな私はそれもしんどくて、とにかく私の負担が大きすぎる暮らしでした」

決定的だったのは雅美さんを両親に紹介したときのこと。革新的な考え方をする雅美さんと保守的な父親の相性は最悪で、ファザコンを自認する沙織さんは「雅美さんと家族になることはできない」と感じた。

「別れを切り出したこともあります。でも、普段は穏やかな彼が豹変して『お前の家族に負けた! 社会に負けた!』と泣き叫んだんです。家族仲の悪い彼にとっては、家族=社会なんですね。そんなことを言われたら別れるわけにいきません。その後も彼とは何度も大喧嘩しました。でも、人として嫌いになったことは一度もありません」

なんとも複雑な状況に陥った沙織さん。そのまま14年間も交際し、最後の喧嘩でようやく雅美さんが「ずっと別れたかったんだよね。別れようか」と折れてくれたという。

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