“瀬戸際”ルネサスエレクトロニクス 支援計画はまとまるか
経営不振が続く半導体大手ルネサスエレクトロニクスの再建計画をめぐって関係者の綱引きが激化している。
ルネサスは銀行などに再建計画を提示した。目玉となる人員削減は当初の6000人から積み増され、1万2000人から1万4000人で調整中だ。ただし、この計画を実行に移せるかは予断を許さない。リストラ資金のメドが立たないからだ。
日立製作所と三菱電機の半導体事業の統合会社が、2010年にNECの半導体子会社と合併して生まれたルネサス。株式の91%を保有する親3社に1000億円規模の増資引き受けを要請した。
だが、自らが経営不振に陥っているNECは「出資には応じられない」と断った。半導体やHDDなど業績変動の激しい事業から撤退し、インフラ事業への集中を明確にしている日立も首を縦に振っていない。一方、三菱は支援に前向きだ。
5月21日、三菱の山西健一郎社長は経営戦略説明会で、「(支援を)検討する」と発言した。三菱の広報は、「文字どおり『検討』でそれ以上の意味はない」と火消しを図るが、交渉関係者は「ルネサス支援の腹をくくるよう日立に求める信号」と解説する。
統合前(の単純合算)も含めるとルネサスは7期連続の最終赤字。12年3月末の手元資金は1319億円と月商の2カ月分弱。1年内に返済期限が来る有利子負債は2107億円あり、資金繰りは逼迫。三菱東京UFJ銀行やみずほコーポレート銀行といったメインバンクは三菱とともに日立への圧力を強めている。