“瀬戸際”ルネサスエレクトロニクス 支援計画はまとまるか
抜本的な再生は困難
資金余力に乏しいNECは蚊帳の外に置かれ、実質的な増資の要請額は2社で600億円とされる。
ルネサスの赤尾泰社長は日立出身で、会社全体も日立色が強まっているというのが業界の見方で、日立が責任を取るべきとの声はある。だが、ルネサスの株価が大幅に下落した現状では、日立と三菱がそれぞれの出資比率に応じて増資を引き受けた場合、日立の持ち株比率は40%超となる可能性がある。実質支配力基準により、連結子会社化を迫られかねず、日立としては簡単に応じられない。
もともとルネサス統合の前後に3社が応じた合計約2000億円の増資が“手切れ金”と位置づけられていた事情もあり、「追加出資は株主に説明がつかない」というのが日立の立場だ。
ルネサスは従業員4万3000人、製造拠点24(うち国内18)と過剰な人員と設備を抱える。このうち競争力を持つのは、茨城・那珂工場などわずかで一定数を整理する必要がある。抜本的なリストラに踏み切るためには、600億円程度では足りないのだ。
ルネサスの中では最新鋭の一つであるNEC系の山形・鶴岡工場の売却交渉では、一時有力だった受託製造大手、米グローバルファウンドリーズは候補からほぼ消えた。受託製造で世界最大の台湾TSMCに望みを託すが、製造工程の違いなどから、まとまる可能性は低い。