白木屋・魚民が激減でも「モンテローザ」が潰れない理由、店舗6割減で"後出しジャンケン戦略"も捨てた《外食の覇者》の現在地
一方、大神氏が選んだのは、生き残るために余剰を削ぎ落とす「引き算」の経営だった。他社のヒット業態を冷徹にコピーして駅前を席巻した、あの「後出しジャンケン」のスピード感は、いまや不採算店舗を迅速に整理する撤退判断の速さと、既存資産にトレンド業態を組み合わせる柔軟な設計力へ変化している。
ブランドのストーリーよりも、現実的な収益性を重視する。このリアリズムこそが、モンテローザの強さの源泉といっても過言ではない。
実際、直近の25年3月期決算では、約42億7600万円の純利益を計上している。原材料費や人件費が高騰し、売り上げ規模の維持そのものがリスクになりつつある現在、重要なのは「どれだけ売ったか」ではなく、「どれだけ利益を残したか」だ。
その意味で、売上高1000億円規模を維持することよりも、まずは確実に42億円の純利益を残す道を選んだ同社の判断は、やむにやまれぬ選択だったとはいえ、現在の居酒屋業界における1つの現実的な回答といえるだろう。
コロナ禍の後遺症からは脱却途上
ただ、これでモンテローザの今後が安泰なわけではない。同社は24年3月期から2期連続で最終黒字を計上しているものの、25年3月期末時点で約67億円の債務超過に陥っている。債務超過とは、企業の全資産を売却しても負債を完済できない状態を指す。つまり、財務的には依然として崖っぷちに立たされていることを意味する。
また、24年3月期から最終黒字に転じているものの、コロナ禍からの回復過程においては不祥事の影響も無視できない。
例えば、21年11月に「魚民」赤羽東口駅前店で発生したもつ鍋への大量の虫混入や、22年7月に「目利きの銀次」で提供された海鮮丼のシャリが変色していた事例などが、コロナ禍明けの22年3月期や23年3月期の業績回復の足を引っ張った面は否めないだろう。
債務超過を解消し、財務の健全性を取り戻すには、少なくともあと数年は直近2期並みの黒字を積み上げ続けないといけない。駅前の風景から「白木屋」の看板が激減したのは、単なる戦略的な転換という以上に、こうした一刻の猶予も許されない財務状況下で、収益性を最優先した結果ともいえる。
「白木屋」「魚民」「笑笑」というおなじみの看板が姿を消していく光景は、モンテローザがかつての戦い方では通用しなくなった現実を表している。模倣で成長してきたかつての覇者は、今、自力で立ち直るための正念場を迎えている。
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