白木屋・魚民が激減でも「モンテローザ」が潰れない理由、店舗6割減で"後出しジャンケン戦略"も捨てた《外食の覇者》の現在地
さらに追い打ちをかけたのが「市場の変化」である。コロナ禍を境に人々の飲み方は一変し、かつて深夜まで続いていた2次会利用は急速に消失。深夜帯の「おこぼれ需要」を狙った、モンテローザのようなビジネスモデルは成立しなくなった。
加えて、企業の宴会ニーズも回復しきらないままで、広いフロアを抱える店舗は、稼働率を維持できない“固定費の塊”へと変わった。看板をかけ替え、業態を修正しても、収支が合わない構造そのものは変わらない。こうした構造的な赤字が、企業の体力を静かに、しかし確実に削り取っていった。
そして最後に、「人的資本の限界」が露呈した。現在の消費者が求める体験価値は、スタッフを使い捨てにするマニュアル経営からは生まれない。深刻な人手不足という物理的制約も重なり、人を軽視した拡大路線は行き詰まった。
象徴的なのが、23年に負債約109億円を抱えて破産したダイナミクスだ。同社は「鳥貴族」を強く意識した焼き鳥業態「鳥二郎」を展開し、低価格路線で急拡大を図ったが、環境変化に耐えきれず経営破綻に追い込まれた。
また、ダイヤモンドダイニングが得意とした個室系ダイニングの文脈をなぞる形で成長したアンドモワの倒産劇も記憶に新しい。個室居酒屋ブームに乗り、業態を次々と展開したものの、固定費負担に耐えられなかった。
彼らもまた、モンテローザが切り開いた「流行業態をすばやく模倣し、多店舗展開で押し切る」 という戦略を踏襲したプレイヤーだった。しかし、模倣の精度は高められても、環境変化に耐える経営体質まで再現できるわけではない。逆風に転じた瞬間、後出しジャンケン戦略そのものがリスクへと反転したといえるだろう。
「割り切った縮小」モンテと「戦略的縮小」ロイヤル
注目すべきは、この逆境下でモンテローザが下した決断である。結論から言えば、同社は成長を追うことをやめ、成長至上主義から明確に離脱した。不採算店舗を一斉に閉鎖し、ピーク時に約2100店舗を数えた店舗網を、現在では800店舗台にまで圧縮。拡大を前提とした経営から、規模を縮めて利益を残す経営へ転換したのだ。
この判断は、「ブランドを磨き直す」ことを目的としたものではない。未上場企業としての自由度を生かし、赤字を生む構造そのものを切り落とす――。モンテローザが選んだのは、情緒やプライドを排した、割り切った縮小判断だった。
対照的な例として挙げられるのが、ロイヤルホールディングスの経営判断である。同社では、菊地唯夫会長の下、画一的な拡大路線を捨て、ブランドごとの役割を最適化する「ポートフォリオ経営」を進めてきた。


















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