「燕尾服を着た日本人は猿によく似ている」 朝ドラ『ばけばけ』ヘブン先生にはとても見せられない?鹿鳴館外交の醜態

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すべては、日本が欧米に認められるためだと思うと、なんとも涙ぐましい。ただ、仮面舞踏会のほうは、日本古来の衣装をまとった参加者が多かったことから、欧米人にはおおむね好評だったようだ。学校に雇われていたゲオルク・ミヒャエリスは、仮面舞踏会に参加した感想を次のように書いている。

「あるとき総理大臣の伊藤侯は、彼の官邸で仮装舞踏会を主催した。銘々が仮装の衣装で現れねばならなかった。当然ながら、ここでもまことに奇妙な風体が出現した。ただ、その夜の成果といえば、士族の代表的人物からなる一群がヨーロッパ風の仮装ではなく、みごとに美しい歴史上の武家装束で現れたことであった」

ただ、残念ながら努力の甲斐もなく、不平等条約の撤廃は思うように進まず、井上馨は外務大臣を辞任。鹿鳴館外交はわずか4年で幕が下ろされてしまう。

日本風を好んだハーンが見たら…

朝ドラ「ばけばけ」のヘブン先生のモデルとなっているラフカディオ・ハーンが、来日したのは、明治23年(1890年)4月4日のこと。鹿鳴館外交が終わって約3年が経っていた。

彼について、妻の小泉セツは「何事も日本風を好みまして、万事日本風に日本風にと近づいて参りました。西洋風は嫌いでした」と振り返る。

もし、鹿鳴館外交のときにハーンが来日していれば、官邸での仮面舞踏会のほうならまだしも、鹿鳴館の舞踏会には10分もいられなかっただろう。

【参考文献】
刑部芳則著『洋服・散髪・脱刀 服制の明治維新』(講談社選書メチエ)
瀧井一博著『文明史のなかの明治憲法』 (講談社選書メチエ)
近藤富枝著『鹿鳴館貴婦人考』(講談社)
犬塚孝明著『明治外交官物語 鹿鳴館の時代』(吉川弘文館)
パット・バー著、内藤豊訳『鹿鳴館 やってきた異人たち』(早川書房)
ゲオルク・ミヒャエリス著、堅田剛訳「〈独逸協会学校〉教師としてのゲオルク・ミヒャエリス ─『国家と国民のために』より―」『独協法学』 64号、2004年
小泉節子著、小泉八雲記念館監修『思ひ出の記』‎(ハーベスト出版)

真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『ひょんな偉人ランキング ―たまげた日本史』(さくら舎)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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