寝台列車「ななつ星」を"世界一"にした魔法の言葉 人々の心に火をつけた社長の熱意とこだわり

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

水戸岡さんにとって、「日本一」はお手のものというか、やってできないことはないという気持ちだったと思いますが、「世界一」となると、「オリエントエクスプレス」をはじめ、ヨーロッパでも10本ぐらいの素晴らしい列車があります。

アメリカ大陸でも3〜4本は良い列車が走っていますし、南アフリカには「ブルートレイン」が走っています。そういったところと戦うことになりますからね。

その中でも、ナンバーワンに君臨していたのは、「オリエントエクスプレス」です。多くの映画の題材にもなった列車で、それに勝つためにはどうすればいいのかと、水戸岡さんもすごく考えて悩んだのです。

人の心に火をつけた「言霊」

私は後日、車両を造った職人たちや、クルーと呼ぶ客室乗務員に、「なんでこの仕事に全力を傾けてくれたのか?」と質問しました。

鉄人たちの仕事の哲学 「モーサテ塾」生きた経済を学ぼう
『鉄人たちの仕事の哲学 「モーサテ塾」生きた経済を学ぼう』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

すると、私がずっと言っていた「世界一という言葉が響いたから本気になった」と言われました。

車両の職人たちはそれまで、国内でそこそこに評価される車両を造ってきました。それが彼らの生きがいだったわけですが、今回は「世界一を目指す」と言われて、燃えたんですね。

職人魂に火がついたんです。「世界一」が、手の届くところに来ているかもしれないという、そんな感覚もあったと思います。

クルーも公募し、社外の方にたくさん来てもらいました。

新聞に、「世界一の豪華列車『ななつ星』の客室乗務員募集」という小さな記事を載せてもらったのです。すると、航空会社のキャビンアテンダント(CA)や、一流ホテルのコンシェルジュ、海外のホテルを渡り歩いたプロのホテルマンとか、そういった方が日本全国、さらには海外からも手を挙げてくれました。

あっという間に400人が応募してくれて、その中から25人を選びました。
私は「なぜあなたは、日本航空のCAを辞めて来てくれたのか?」「一流ホテルのコンシェルジュを辞めて来てくれたのか?」と、合格者たちに後で聞きました。

するとみんなが、「世界一という言葉に自分を懸けてみたくなった」と言うわけです。

「日本一」という言葉は、もはや魔力を持っていませんが、「世界一」という言葉はまだ魔力を持っているのです。

言葉の魔力とは、「言霊(ことだま)」であり、言葉の魂です。それが「世界一」という言葉にはあります。

小林 洋達 テレビ東京報道局「ガイアの夜明け」チーフ・プロデューサー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

こばやし ひろたつ / Hirotatsu Kobayashi

テレビ東京報道局「ガイアの夜明け」チーフ・プロデューサー。1998年にテレビ東京入社後、報道一筋。「ワールドビジネスサテライト」、東証・日銀担当記者、「ガイアの夜明け」立ち上げ、北京支局、「カンブリア宮殿」、ニューヨーク支局、「Newsモーニングサテライト」などを担当。経済を切り口にドキュメンタリーを多く制作し、北京五輪開催を控えた中国では「癌の村」や「胡同の町の強制立ち退き」の記録を制作。2018年1月から2022年1月までの4年間はニューヨーク支局に赴任し、新型コロナウイルス感染拡大や、BLMなど社会を揺るがす市民運動、異例づくしの大統領選などを特集した。「ガイアの夜明け」では、2003年のイラク戦争が開戦するまでクウェートで長期取材したほか、2012年には中国で反日暴動に襲撃された日系の百貨店「平和堂」が再開するまでを潜入取材した。「カンブリア宮殿」では、サッカーW杯・南アフリカ大会で初の16強入りを果たした岡田武史元監督の独占取材を行う。2025年4月から「ガイアの夜明け」チーフ・プロデューサーを務める。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事