寝台列車「ななつ星」を"世界一"にした魔法の言葉 人々の心に火をつけた社長の熱意とこだわり

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「2年後には、われわれの悲願である夢の九州新幹線が、いよいよ鹿児島まで全線開通・全線開業します。私自身は新幹線の開業のために大したことはしていないけれど、諸先輩方が道筋をつけてくれました。私はたまたま今、社長になったから、その開業に立ち会う社長になる。それは幸運なことだ。うれしいし喜ばしい。しかし、われわれの鉄道事業にとっては、この20数年間、唯一にして最大の夢が新幹線の開業だった。

みんな聞いてくれ。夢というのは実現して、夢がかなった時には、その夢が無くなる。私たちの唯一の夢が2年後に実現するのに併せて、われわれは夢を失ってしまうんだ。だから、次の夢を見られないだろうか。夢のない組織は、羅針盤のない漂流船みたいなものだ。どこに向かえばいいのかわからなくなる。

組織には目標や夢が必要なんだ。だから夢を見ようじゃないか。どうだ、世界一の豪華列車をつくってみようじゃないか」と。

みんなが「世界一」に引き寄せられた

「ななつ星」のデザインは、水戸岡鋭治さんというデザイナーが、すべて一人でやり遂げたものです。水戸岡さんは、「ななつ星」のデザイン設計を完成させるまでに5000枚の図面を描きました。他にもっと失敗作があったでしょうけど、採用された図面だけで5000枚を描きました。

小さな木ネジ1つまで、水戸岡さんが自らデザインしたんです。

「ななつ星」では、木目の壁にパネルをはめたりライトを取り付けたりするために、木ネジを2万3000本使っています。木ネジ1つまでオリジナルです。そんなものは、安く調達すれば済みそうなものですが、オリジナルです。

だから、そのネジはプラスでも、マイナスでもありません。星型のドライバーでしか、ネジの開け閉めができないのです。

一度乗っていただくとわかりますが、星型の木ネジが至る所にあります。

水戸岡さんをはじめ、「ななつ星」に関わったみんなが、なぜ、このように本気になったのかというと、私が何度も同じことを言ったからかもしれません。

私は「世界一」という言葉を何度も繰り返しました。

水戸岡さんに「豪華寝台列車をつくりましょう」と初めて言ったときに、水戸岡さんはものすごく喜んでくれました。しかし、「世界一をつくりましょう」と言った時には、水戸岡さんはちょっと構えたんです。

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