「無敵の20代」に振り回される「気づかい世代40~50代」のつらみ――でも20代も「変わりたい」と思っている

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三宅 私は『考察する若者たち』で、今の社会はアルゴリズムが見るべき情報を教えてくれる、欲望する主体が消えた世界だと書きました。どんな情報が欲しいのかも自分で選ぶ必要がない。つまり今は「自分らしさ」すらも求められない時代だということです。周りの空気を読んでキャラを演じる若者の姿は以前から指摘されてきたことですが、今ではその場その場に合わせてキャラが「最適化」しています。

一方、私が非常勤講師をしている芸術系の大学では、「自分の創りたいものがあるけどどうすればいいのか」と悩みを吐露する学生もいたりして、「最適化しすぎる自分」「報われることを求める自分」に息苦しさを感じている若者も案外多いように感じます。

「至れり尽くせり」に不満を持つ若者をどう変えるか

金間 よくわかります。僕は会社の内定式に行くことがあるのですが、式が終わって「はい解散」となったあと、3〜4割くらいでしょうか、すぐには帰らず「何かもの足りない」という顔をしている学生がいるんです。自己実現系の若者のように「飲みに行こうぜ」と大きな声では言わないんですが、彼らは新しい友達を作って帰りたいと思っている。三宅さんのご指摘通り、変わりたいと思う若者は結構いるのかもしれません。

三宅 変わりたくても変われない理由の一つは、周りの目ですよね。友達の目、同期の目。人の視線を気にしないモードに入らないといけない。ただ、そのモードへの切り換え方が皆わからない。

金間 『無敵化する若者たち』では、最終章で彼らを「自己実現予備軍」と名付け、今までとは違う景色を見られるようになってほしいと3つの提案を行っています。三宅さんの『考察する若者たち』も、最終章では最適化に抗うことを、あとがきではそのためにできることを提示しています。

三宅 私も「似ている」と思いました(笑)。

金間 訓練の機会を設けたり、大人が良き伴走者になったりしていくことで、自ら動く若者は増えていくのではないでしょうか。そこに僕は一筋の光明を見出したいと思います。

(構成:笹 幸恵)

金間 大介 金沢大学融合研究域教授、北海道医療大学客員教授

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かなま だいすけ / Daisuke Kanama

北海道生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士(工学))、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学准教授、東京農業大学准教授等を経て、2021年より現職。専門はイノベーション論、マーケティング論、モチベーション論など。若手人材や価値づくり人材の育成研究に精力を注ぐ。大手企業のほか、医療機関や社会福祉法人との連携も多数。主な著書に『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)、『静かに退職する若者たち』(PHP研究所)、『ライバルはいるか?』(ダイヤモンド社)など。一般社団法人WE AT副代表理事、一般社団法人日本知財学会理事も務める。

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三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。

2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。

その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 』『12歳までに身につけたい 自分の「好き」をことばにできるノート』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

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