よくわかってしまったら終了!? 「現代美術」の流れを読み解けば、「進化する芸術」と「社会のしくみ」がまるごと見えてくる

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そうやって世界を構成する「本質的なもの」を追い求めて、抽象化を進めた結果、最後に残ったのがこの「新造形主義」と言われるあの「三原色と非色(黒白灰色)と直交する直線」の世界でした。彼にとってこれは模様やデザインではなく、進化の先にある世界のモデルだったのです。

美術の世界に起こった「ちゃぶ台返し」

モンドリアンは私生活でもこの「新造形主義」を徹底していました。

アトリエを自分の絵画のように構成し、髭を剃るときも左右1本ずつ剃ったとか、緑色を嫌い、部屋に花を飾るときは茎を白く塗ったとか、そんな逸話が残っているほどです。

このように、モダニズムの画家たちは「絵画とは何か」「絵画を成立させている純粋な要素とは何か」を問い続けました。そして行きついた道の1つが、抽象表現主義の画家。ジャクソン・ポロックが描いたような、全面を均質な絵の具で覆い平面性を強調する、「オールオーバー」と呼ばれる絵画です。

しかし、こうして「絵画」が純化され、進化の極みに達したと思われたとき、まったく別の角度から「ちゃぶ台返し」をするような動きが現れます。それこそが、今日私たちが「現代美術(コンテンポラリーアート)」と呼んでいるものの始まりです。

中編に続く)

藪前 知子 キュレーター・東京都現代美術館学芸員

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やぶまえ ともこ / Tomoko Yabumae

企画担当した展覧会に「大竹伸朗 全景 1955-2006」(2006)、「山口小夜子 世界を着る人」(2015)、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(2015)、「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」(2020)、「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する](2021)、「日本現代美術私観 高橋龍太郎コレクション」(2024)、岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジコ Time Unfolding Here」(2025、以上、東京都現代美術館)など。「札幌国際芸術祭2017」「αMプロジェクト 東京計画2019」をはじめ外部キュレーション、雑誌・ウェブ等に日本の近現代美術についての寄稿多数。

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