かつて「モダン」という言葉は「今」を意味していました。しかし、ある時期から「モダン」は「近代」という特定の時代区分(およそ20世紀前半まで)を指す言葉として固定化されました。それ以降の、現在進行形の美術を指す言葉として登場したのが「コンテンポラリー」です。
現代美術を理解するためには、まずその前段階である「モダニズム(モダンアート)」が何を目指していたのかを知る必要があります。
MoMAがつくった「芸術進化論」という物語
モダニズムの根本にある思想、それは「進化」です。人間や社会は常に進化していくものであり、芸術もまた、伝統や因習を排して常に新しいものを追求し、進化していかなければならないという考え方です。
このモダニズムの考え方を強力に推進し、1つの「物語」として定着させたのが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)です。
MoMAが1936年に開催した展覧会のカタログに、初代館長のアルフレッド・バーが作成した有名なチャート図があります。上部にヨーロッパの芸術運動(印象派やキュビズムなど)が描かれ、それらが複雑に影響し合いながら、最終的に抽象絵画に流れ込んでいきます。
芸術運動を生物の進化系統樹のようにとらえ、抽象絵画へ向かう過程を「進歩」として可視化したこの図は、その後、戦後アメリカで展開される抽象表現主義と呼ばれる動向を、「進化の1つの到達点」とする根拠となっていきます。
「芸術は進化する」。そして、「現在のアメリカの芸術こそが、ヨーロッパ由来の芸術的進化の最先端にある」という政治的なメッセージにもなっていきます。
では、具体的に絵画はどう「進化」していったのでしょうか。


















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