「今世紀最高水準」に達した国債金利――だからこそ再注目したい「個人向け国債」

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個人向け国債の発行が始まったのは2003年。国債を安定的に発行し続けるため、政府・財務省が「個人のお金をどう取り込むか」を考え抜いた末に生まれた制度だといわれています。

当時は今以上に銀行預金が主流で、低金利の一方バブル時の高金利を覚えている人も多く、単なる国債ではなかなか見向きはされません。

その結果、金融の世界から見ると「ありえない」と言いたくなるほど、個人に有利な設計が盛り込まれました。機関投資家や法人は買えません。仮に買えたとしたら、巨額の資金が殺到し商品として成立しなくなります。

市場原理を超えた個人だけが買える金融商品、それが個人向け国債なのです。

国債を持つことのもう一つの「意義」

機関投資家からは「うらやましい」といった本音も聞こえてきます。

「そう、うらやましいでしょう!」と私は思います。

金融の世界ではどうしても機関投資家が有利になりがちです。資金量の多さと、プロであるが故に整備された制度から、選択肢が広いのです。でもだからこそ、資金量や情報に劣る個人投資家だけが優遇される金融商品があってもいいと思うんです。主役はいつだって個人です。

それでも、「国がつぶれることだってあるじゃないか。借金は多いし、国力も衰えている。ギリシャやアルゼンチンの例だってある」。こんな不安の声も聞かれます。「株式の方が値上がり益を見込めるし、NISAの対象になっていて魅力的」という意見もあるでしょう。確かにそうかもしれません。

ただ実は、国債を持つことには経済的メリットとは別に大きな意義があるのです。

それは国の財政状態に関心を持つようになることです。

国政で常に大きなテーマになっている減税や給付金といった政策の財源は、突き詰めれば国債です。経済成長やインフレによる税収増を上回る形で、大盤振る舞いしていけば国債発行残高は増える一方です。

そうなれば何が起きるか。金利は上昇します。国の財政状態や信用力に対する信認が低下し、投資家はより高い金利を求めることで警鐘を鳴らす。投票や支持率とは違う形でマーケットが示すもう一つの民意です。

冒頭お伝えしたとおり、10年国債金利が今世紀最高水準に達した背景の一つは国の財政悪化に対する懸念です。こうした国の立ち位置や進む方向に当事者意識を持って敏感になり、時にはアクションを起こすこともできる。そして国の方向性を正すことにつながる。それこそが、国債を持つもう一つの意義なのです。

米村 吉隆 オーシーズパートナー株式会社(OOCZ Partner Inc.)代表取締役

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よねむら よしたか / Yoshitaka Yonemura

元・大和証券株式会社投資銀行部門法人部長。1977年生まれ。立教大学卒。ハーバード・ビジネススクール修了(PLD)。大和証券投資銀行部門にて18年間にわたり上場企業の資金調達やM&A、投資家・株主対応、コーポレートガバナンス改善など企業価値向上施策を支援。主なクライアントは自動車、電機、半導体などのグローバル製造業から、総合商社、ITまで多岐に及ぶ。インベストメント・バンキング・カバレッジ業務を統括する法人部長を務めたのち、2025年に独立しオーシーズパートナーを設立。「企業価値向上の主役は社員」を出発点に、中長期的株価上昇を目指した企業変革の伴走支援を展開する。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。

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