「英語に翻訳し、世界に発信」 朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲が怪談『水飴を買う女』に付け足した1行
まもなくして両親は離婚したため、ハーンが母と過ごしたのは、わずか4年に過ぎなかった。
それでもハーンは母の愛を信じて、怪談『水飴を買う女』にまるでピースを埋めるがごとく、ラスト1行を付け加えたのだろう。
ドラマでは、通訳を介して怪談を理解したヘブン先生が号泣するシーンがあった。モデルとなったハーンのつらい生い立ちを知れば、涙を流したワケが痛いほど伝わってくる。
「母性愛」をテーマに創作活動を行った
ハーンは来日する前にアメリカで、ヒット記事を放つ優秀な新聞記者として名を馳せ、その後、文筆活動に入り、『チータ』と『ユーマ』という小説を執筆しているが、ともに「母性愛」をテーマにしていた。
そんなふうに、自身の表現活動で心を癒やしてきたハーンにとって、日本の『怪談』は過去の傷に寄り添ってくれながらも、どこか遠い場所に自分を連れていってくれるものだったのだろう。
放浪生活を繰り返したハーンだったが、小泉セツと結婚し、日本への永住を決意することになる。
【参考文献】
E・スティーヴンスン著(遠田勝訳)『評伝ラフカディオ・ハーン』(恒文社)
牧野陽子著『ラフカディオ・ハーン-異文化体験の果てに』(中公新書)
遠田勝著「書簡が語る八雲の生涯」『無限大 №88』(日本アイ・ビー・エム)
小泉八雲著、池田雅之編『小泉八雲コレクション さまよえる魂のうた』(ちくま文庫)
小泉節子著、小泉八雲記念館監修『思ひ出の記』(ハーベスト出版)
小泉凡著『セツと八雲』(朝日新書)
NHK出版編『ドラマ人物伝 小泉八雲とセツ:「怪談」が結んだ運命のふたり』(NHK出版)
工藤美代子著『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(毎日新聞出版)
櫻庭由紀子著『ラフカディオハーンが愛した妻 小泉セツの生涯』(内外出版社)
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