見通しが真っ二つに分かれていた10月30日の日銀金融政策決定会合では、現行の量的金融緩和の継続が決定された。
筆者は前回の本欄で、黒田総裁などがエネルギーを除くインフレ率が高まっている点を重視していることを踏まえ、2014年10月のように追加金融緩和には踏み切らない可能性が若干高いとの考えを示したが、それに沿った結果になった。
一方、2015年4-6月からGDP成長率が想定より下振れ、原油下落の影響とはいえCPIが事前想定より下振れ、更にインフレ期待を示すサーベイがやや低下するなど、1年前と共通する部分が複数あった。2014年と2015年の日銀の対応の差をとらえて、日銀の政策対応に対して、「一貫性に欠ける」という批判的な評価がメディアや市場関係者から聞かれる。
2014年と2015年の金融政策の違い
「2%のインフレ目標の時期の先送り=金融緩和の強化」という「シンプルなルール」が市場関係者に広く浸透したので、こうした批判が目立つのだろう。デフレを許容しない新生日銀の誕生で2013年初からの大幅な円安・株高が実現したが、レジームチェンジを通じてインフレ目標に強くコミットする日銀の金融政策に対する理解が広がったことを示している。
実際には、日銀はインフレ率の想定を引き下げ、2%インフレ目標達成時期を先送りしながら、2015年10月は現行の政策を維持した。インフレ率にコミットする「シンプルなルール」に反した点では一貫性が失われたようにみえるが、日銀はインフレ目標へのコミットを弱めたのだろうか。
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