日本へのLNG輸出を米国が決められない訳--リチャード・カッツ

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米国は「天然ガスのサウジアラビア」

米国政府は、日本はこの件については大きな声を上げないほうがよい、と考えているようだ。野田佳彦首相は、オバマ大統領との首脳会談でこの件に言及したが、記者会見では手短に触れただけだった。

1938年の天然ガス法の下では(当時は、天然ガスは希少かつ極めて重要な資源だと位置づけられており、第2次世界大戦が間近に迫っていた)、米国は、国益に反すると判断される場合を除き、天然ガスを輸出することが想定されている。したがって、エネルギー省の見解では、国益に反すると立証する責任は、輸出に反対する側にある。

オバマ大統領は、天然ガスの強力な推進者であり、米国を「天然ガスのサウジアラビア」とさえ呼んでいる。メタンガスの漏出や水質汚染を防止する十分な安全規制が行われるかぎりにおいて、「水圧破砕」によるシェールオイルとガスの掘削を支持している。

さらにオバマ大統領は、天然ガスは、米国の輸入原油への依存を軽減させ、原油輸出国の独裁者のパワーを弱体化させる効果があるだけでなく、石油や石炭よりもクリーンな燃料だと考えている。一般教書演説の中でも次のように語っている。

「米国には、ほぼ100年にわたって使い続けられる量の天然ガスが存在している。(中略)天然ガス開発によって、環境を取るか経済を取るか、という選択をする必要がなくなれば、雇用が生まれ、よりクリーンで経済的にトラックや工場を動かすことができるようになる」

オバマ政権は、安全性向上を図る一連の規制に乗り出しているが、業界側は、一般国民が抱く環境不安に対処するのに必要な規制に対しても、強い抵抗を示している。

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