日本へのLNG輸出を米国が決められない訳--リチャード・カッツ
オバマ政権が液化天然ガス(LNG)の日本などへの輸出を認可するのはほぼ確実だ。11月の大統領選挙後にも、その判断が正式に下されるだろう。経済および国家安全保障の観点から見れば、LNGの輸出は明らかに米国とその同盟国の双方の国益にかなう。
認可は11月よりもっと早く下りてもよかった。ところが、再選を狙うオバマ大統領の選挙対策チームが、認可時期を11月の大統領選挙後まで先送りしようとしている。シェールガスの「水圧破砕」阻止を宣言している環境保護ロビイストの離反を防ぎたいからだ。
一方、これまでLNGの輸出に反対してきた企業・業界団体は、姿勢を転換して中立的な立場を取るようになっている。
化学薬品会社や鉄鋼メーカーなどの主要事業者団体、米国工業エネルギー消費者協会のポール・シシオ会長は、「私たちは、(2011年の)シェニエール社のサビーンパス・ターミナルの件では輸出認可に反対したが、その後は、姿勢を転換した。今では輸出に反対していない」と述べている。
また、化学薬品会社の事業者団体、米国化学工業協会は、「天然ガスの輸出に関する規制そのものに反対している。政府からの補助金によってエネルギー市場における勝者と敗者が決まることに反対するのと同じ理屈だ」と主張している。
結局、天然ガス輸出反対派の中心は、「水圧破砕」は本質的に危険だと信じ込んでいるシエラクラブのような環境保護団体だ。