「マンションの管理組合の理事長と、たまたま挨拶を交わした際に、『うちは木曜日の午後に共有ルームで老人体操をやっているんですよ』と教えてくださった。高齢者が住んでいて交流があり、体操もできるわけです。それから館内ですれ違う皆さんが見知らぬ私たちに挨拶をしてくれました。築古のマンションでしたけど、ここがいいわって思いました」
住まいとして気に入った点は、14畳ほどある広いリビングダイニングの西側と北側に大きな窓があって明るいこと。個室は和室6畳と洋室6畳があり、夫婦それぞれの部屋が持てること。狭いながらもキッチンが独立していること。
一方で、問題があるのは浴室とトイレだ。浴槽の高さが高くてまたげないので、もっぱらシャワーだけ。トイレは吉田さんの部屋から離れているのが、少し不便だという。
浴槽に関しては最近、「バスボード」を設置したことで入浴を楽しめるようになった。
「広い一軒家」のリノベーション内容
熊本市内での新生活はおおむね快適だったが、夫は南阿蘇での田舎暮らしを気に入っており、そちらの家も手離してはいなかった。熊本市内に拠点を置きながら、南阿蘇にも通うことになった。
南阿蘇の一軒家は前述の通り、購入時に吉田さん主導でリノベーションを実施している。そのとき何を工夫したか。
まず吉田さんが目をつけたのは、北側と南側に玄関があり、和室ばかりという間取りの中で、南側にある3畳ほどの広い玄関と玄関の廊下につながる4畳ほどの広縁だ。
「玄関を縮小し、広縁は1mほど増築して、庭に面したリビングに作り替えました。窓から阿蘇の四季折々の景色を眺めていると心が癒やされます」
広すぎる台所は全面改修。動線が短くてすむL字型キッチンにして、泥付き野菜を洗うのに便利なセカンドシンクも作った。
「シンクとコンロが直角に配置されているL字型のキッチンは、体の向きを変えればシンクからコンロに移動できるので、I字型のように横に何歩も歩かなくていいから楽なんです」
浴室とトイレもしっかり改修した。
「恐ろしく古くて浴槽が深いお風呂」は、底が浅めのユニットバスに。浴室の戸は、車椅子も通れる3枚引き戸に変更。浴室の壁の向こう側にあった物置を作り替えて移動させ、洗面所と洗濯機置き場を確保した。
2階建てで7部屋もあるが、トイレは南側の浴室の隣に1カ所しかなかったため、北側の玄関ホールの物置をリフォームして増設している。
「高齢者にとってトイレまでの距離は非常に重要です。物置はモノを減らせば不要になります。物置よりトイレ、です」


















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