三菱UFJグループ、郵政上場で示した"新境地" 銀行窓口の株式販売で長期保有を拡大

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そこで、MUFGは日本郵政グループ株式の上場に先立って、独自に分析を重ねて「(銀行の)証券仲介1000億円を目指す」という方針を立てていた。ふたをあけてみれば、計画を200億円上回る、1200億円の販売を実現した。

郵政株の購入資金はほとんどが新規流入

11月4日に上場したグループ3社の株価は上場の滑り出しだった(撮影:尾形文繁)

日本郵政グループ株購入の大半は、新たな資金流入だったことに特徴がある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、他の株式や投信からの乗換えではなく、新規資金による買い付け比率(プロパールート)が70%という高い比率に達した。

さらに、長岡孝・三菱UFJモルガン・スタンレー証券社長は、銀行の証券仲介モデルについて「ほぼ、100%の買い付けが新規資金と考えられる」と分析。「我々は銀行の証券仲介を通じて、“貯蓄から投資へ”の流れを加速させる」(同)と自信を見せる。

注目できるのは、証券仲介モデルを通じて、株式を購入した投資家の株式保有スタンスだ。MUFGによれば、過去の引き受け案件をベースとすれば、株式購入から約1年後の保有率は、証券会社経由の販売と比べて、3~4倍高かったと言う。

つまり、株式の長期保有という観点からは、銀行の証券仲介ルートのほうがよいということになる。特に日本郵政グループのような、政府保有株式の売り出しにあたっては、国民に幅広く安定的に保有されるのが望ましいという観点からは、証券仲介ルートのほうが合致しているという結論にもなる。

株式投資のスタンスはそれぞれの投資家の考え方次第であり、一律である必要はない。ただ、これまでは新規公開時に株式を買い付けて、上場後間もない上昇場面で売り抜けるという投資手法が、多かったことも事実だ。

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