三菱UFJグループ、郵政上場で示した"新境地" 銀行窓口の株式販売で長期保有を拡大

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MUFGが示した長期保有のあり方

2015年4月、東洋経済の取材に応じる長岡孝・三菱UFJモルガン・スタンレー証券社長(撮影:梅谷秀司)

政府保有株式については、2016年度にもJR九州の売却が予定されている。

その後も、株式市場が安定している限り、継続的に行なわれる公算が大きい。

それだけに、MUFGが日本郵政グループの上場にあたって、証券仲介モデルの有効性を証明したことには、大きな意義がある。

こうした政府保有株式の売却と銀行の証券仲介モデルがもっと結合すれば、個人投資家層に中期安定保有の地盤が構築され、株式投資の裾野拡大や市場の健全な大衆化に、資することになるだろう。

今後の政府保有株式売却案件で、証券仲介モデルを積極的に展開する銀行系証券の役割に期待する声が、政府内部でも高まりそうだ。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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