欧米の大企業では高額な役員報酬が根深い問題として横たわっている。5年前のリーマンショック後を思い出すと、特に大手金融機関のべらぼうな役員報酬が批判の的になったことは記憶に新しい。
一方、日本企業の役員報酬は欧米ほど高くはないといわれてきた。実際のところはどうなのだろうか。東洋経済オンラインはこれまで一般事業会社の役員報酬に関して、さまざまな切り口のランキングを紹介してきたが、今回は、これまで紹介していなかった金融機関の役員報酬ランキングを紹介しよう。
金融機関の財務諸表は一般企業と開示内容が大きく異なるほか、注記も豊富なため、これまでランキングの対象に入れていなかった。データは直近の本決算(2015年3月期)のコーポレート・ガバナンスの状況の注記と従業員の注記から採録した。「役員平均年収」は「社内取締役の報酬」または指名委員会等設置会社の場合は「執行役報酬」の合計額を、社内取締役と執行役の合計人数で割り、独自に算出したものだ。
1位は野村HD、3メガバンクには差が
ランキング上位は証券会社が目立つ。1位は、証券会社の雄である野村ホールディングス。役員平均年収は1億7090万円だ。役員報酬が1億円以上の取締役と執行役は8人。グループCEOの永井浩二氏の役員報酬は3億2800万円だった。業績が好調だったこともあり、変動報酬の部分が大きく伸びた。2年前の2013年3月期の時点では、永井氏の変動報酬が8900万円だったが、直近の変動報酬では2億0900万円まで増加した。この2年で2億円ほど増えた計算になる。
銀行の中で平均役員年収が最も高かったのは、役員平均年収が8100万円で3位のスルガ銀行だった。スルガ銀行では、創業家出身社長の岡野光喜氏と副社長の岡野喜之助氏がそれぞれ1億9200万円と1億5500万円の報酬を得ていた。このスルガ銀行までが、役員平均年収と従業員平均年収の格差が10倍を超えていた。
3メガバンクの中で最も役員平均年収が高かったのは、三菱UFJフィナンシャルグループの6400万円(7位)。続いて三井住友フィナンシャルグループは4360万円(18位)、みずほフィナンシャルグループは2573万円(54位)だった。3社を比べてみると、従業員の平均給与に比べて役員報酬は差がついていることがわかる。
金融機関は、従業員の平均年収が高いこともあり、10倍以上を超える給与格差の会社は少ない。ランキングの下位に目を向けると、地銀を中心に社員とあまり変わらない役員報酬の銀行も目立つ結果となった。
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