「『医療同意拒否』された子が生きられる道を」難病・障がいを負う2児を養子縁組で育てる「休みゼロで赤字」の元牧師が明かす、日本の"悲しき現実"
恵満ちゃんとの生活も、松原さん自身を変えた。
「恵満はたびたび搬送や入院がありますが、救急車の中にあるものは、全部うちにあります。救急隊員さんも子どもを扱うのが怖いみたいで、吸引もバイタル測定も、いまでは全部僕がやる。
そこで、ハッとしたんです。こういう子どもをサポートできる技術が、自分のなかに身についているのだと。人を生かすことのお手伝いができる力を持てたことって、すごくありがたいなと感じました」
「僕をお父さんにしてくれた2人には感謝しかない」
共闘することになった産婦人科医に『日本のマザー・テレサになってください』と言った松原さんだが、自身もずっとマザー・テレサに憧れていた。
彼女の生き方にインスパイアされている部分もあると言い、「毎日、しんどいのはしんどいです。でも、苦労と不幸は関係ない。やまとと恵満は、57歳の僕をお父さんにしてくれた。このふたりの家族でいられる。それがもう、感動で。感謝しかないんです」と涙をにじませる。
そんな松原さんの活動ぶりに、最初は「何もそこまでしなくても……」という反応をしていた松原さんの家族も、いまは全面的に協力してくれているそう。“想い”が人を動かす。“覚悟”を持った背中に、人はついていく。
親が医療に同意しないことで、救えたはずの命が失われる。それは虐待でも事件でもないため、ニュースになることはほとんどない。「医療同意拒否」という言葉自体をはじめて聞いた人も多いだろう。しかし、決してすべての親が悪意を持っているわけではない。むしろ「どうしていいかわからない」「背負いきれない」という状況に追い込まれているケースが多い。
実際、松原さんの日常を見ても、「自分だったら、そう簡単に耐えきれるものではない」と感じた人は少なくないだろう。松原さんは自身の経験から、その苦労や苦悩に向き合い、ギリギリまで追い詰められた親たちに「ひとりで抱え込まないで」と伝えている。
子どもを育てきれない親がいる。医療に同意できない親がいる。そして、その間に命の期限が迫る子どもがいる……。この現実をどう受け止め、どこまで社会として支えるのか。少なくとも、松原さんのような人が奮闘しているという事実が存在するいま、「そんな話は知らなかった」と言える段階は、とうに過ぎているのかもしれない。
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