「『医療同意拒否』された子が生きられる道を」難病・障がいを負う2児を養子縁組で育てる「休みゼロで赤字」の元牧師が明かす、日本の"悲しき現実"
一方で、松原さんは「バズれば解決する」という幻想は、きっぱりと捨て去っている。
「一時的に注目されると、一旦お金は集まります。でも、医療ケアは1カ月、2カ月で終わるようなものではなく、何年も続くんです。SNSの拡散は、あくまで“きっかけ”でしかない。バズった次の月も、その翌月も同じだけお金が入れば助かりはしますが、そううまくもいかず、寄付金に依存してしまうようでは続かない。そこが一番しんどいところです」
つまり現在、『小さな命の帰る家』の運営は、寄付・募金、松原さん個人による持ち出し、わずかな支援金で成り立っている。
「正直、いまだに全然足りていません。医療費も、生活費も、将来の備えも。ギリギリどころか、赤字です」
それでも、松原さんは「不幸ではない」と言い切る。
「苦労と不幸は関係ない」松原さんが感じる“幸せ”とは
「本当に、これこそ伝えたいんですけど……僕はいま、幸せです。やまとと恵満が来てくれたことを、これ以上ない嬉しいことだと思っています」
そう感じられる理由のひとつとして、松原さんは「あの子たちは競争社会から降りた生き方をしているから」と表現する。
「例えば、やまとは最初から競争社会にいない。周りの誰とも競わないし、比べない、比べる必要もない。それが僕にとっては新しい発見でしたし、『この子のペースで生きていってくれればいい。その手助けができるのは光栄なことだ』と思わせてくれるんです」
松原さんには、すでに成人を迎えた3人の子どもがいる。当然、これまで子どもたちを育て、受験や進学のサポートもしてきた。
「健常な子を育てるのも、それはそれで、正直しんどかった。周りの子との差を、よくも悪くも思い知らされる場面ばかりでしたからね。けれど、やまとは違う。成長も遅いし、何をするにもゆっくり。でも、そのペースがある意味、すごく人間らしい。僕自身が『早く』『できる』『生産性』に縛られていたことに気づかされました」



















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