「AIが人間の仕事を奪う」は本当か?これからも必要とされる人が当たり前にやっていること
もちろん現代の価値観からすれば、それは新人に対する仕事のさせ方としては不適切だと思われる可能性もある。もちろん、上に立つ人間が「そういう仕事をさせなければダメだ」と決めつけ、それを押しつけることは正解ではないだろう。
だが重要なのは、本人の判断力と実行力だ。右も左もわからないなかで、あえて泥臭い試行錯誤を続けてみる。それは決して無駄な選択ではないということだ。事実、著者もそうしたことで「営業の本質が身についたことは確か」だと断言している。
泥臭い仕事とは「一次情報を自分で取りに行くこと」
もちろん泥臭い仕事という言葉に洗練されたイメージはないので、できれば避けたいと感じたとしても無理はないだろう。ただし著者のいう泥臭い仕事とは、ただ無駄に時間と手間のかかる“非効率な作業”のことではない。
言い方を換えれば、時間と労力をかけて、成功率を高める検証を行うということでもあります。
たとえば、
・顧客に直接会って話を聞く
・実際に現場を訪れて、空気を肌で感じる
・いっしょに手を動かしながら業務プロセスを体験する
(88ページより)
時代がどう変わろうとも、そういったアクションを通じて得られる情報は重要な意味を持つ。そしてそういった経験を積むことこそが、AIには絶対に到達できない“生きた知見”になるということだ。
一方、情報がアップデートされない仕事を繰り返すことは、できる限り避ける必要がある。同じ仕事や同じような経験の繰り返しでは、新たな情報を得ることができないからだ。
つまり、「泥臭い仕事をしろ」という上長からの指示にただ従えばいいという意味ではない。泥臭い仕事をするからには、「それに見合った情報を得ること=検証を行うこと」が大きな意味を持つのだ。
それこそが泥臭い仕事の意義であり、その点を意識しておかなければ、ただの面倒で大変な仕事で終わってしまうに違いない。「泥臭い仕事に耐える」というよりは、「泥臭い仕事を通じてなにを得るか」という自主性が大きな意味を持つのだ。


















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