「AIが人間の仕事を奪う」は本当か?これからも必要とされる人が当たり前にやっていること

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そんななかで著者は、「では、自分の仕事とはなんなのか?」という根源的な問いと向き合い、やがて“意外な結論”に気づく。「AIを使いこなすことより、AIを使いこなすための本質的な仕事スキルと経験を得ることのほうが、よほど価値がある」ことだ。

つまりAIを使いこなすスキルよりも、“もっと泥臭く、人間的な「当たり前」”にこそ本質的な価値があるということ。

ここで著者が、あえて「泥臭く」という表現を用いていることには、大きく共感できる。結局のところ、人間が人間である以上は泥臭さを避けることはできず、避ける必要性もないはずだからだ。

そうして、不安と期待のはざまで揺れ動いているうちに、別の問いに行き着きました。
「では、自分の仕事とは何なのか?」
という根源的な問いです。
(「はじめに――ある日突然、自分のキャリアが『無価値』に見えた」より)

この点こそが本書の核心なのだが、具体的にどうすればいいのだろう。著者が挙げる「AI時代の仕事の基礎マインド」のなかから、いくつかのポイントを抜き出してみることにしよう。

最初からうまくやろうとしない

最初の段階から「うまくやらなくちゃ」と自分を追い込んでしまったため、最終的にはうまくいかなかった――。

そういう失敗は、誰もが経験することかもしれない。あるいは緊張しすぎて“最初の一歩”が踏み出せないということもあるだろう。

だが著者は、最初からうまくやろうとすることには、ほとんど意味がないと断言する。質の高い仕事とは、一定の「量」をこなして初めて得られるものだからだ。

たしかにそのとおりで、経験知とは実際にやってみて、失敗し、そこから学ぶことを繰り返した結果として蓄積されていくものなのである。多くのことを最初から完璧にこなしてしまうAIを目の当たりにしてしまうと、こうしたことは忘れがちかもしれない。AIにできることができないという現実が、自信を失わせてしまうことも考えられるだろう。

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