文学者が描く「アディクション」という奮闘の物語 『安全に狂う方法』書評

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『シリーズ ケアをひらく 安全に狂う方法 アディクションから掴みとったこと』赤坂真理 著
シリーズ ケアをひらく 安全に狂う方法 アディクションから掴みとったこと(赤坂真理 著/医学書院/2200円/260ページ)
[著者プロフィル]赤坂真理(あかさか・まり)/作家。1995年「起爆者」でデビュー。2012年『東京プリズン』で毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞を受賞。批評と物語の中間的作品に『愛と暴力の戦後とその後』など。身体を使った文学的表現にも関心を持つ。

依存症(アディクション)は、誰でも陥る可能性のある身近な疾患だ。2016年の研究によると、日本国内で、アルコール依存症の状態を経験したことのある人は約109万人、ギャンブルなどの行為依存症では同約320万人と推定されている。

文学者による自己エスノグラフィー

多くの人が治療を受けて、あるいは潜在的なリスクに苦しんでいる一方、依存症の具体的な姿を見聞きする機会は非常に限られている。

経済的破綻や家庭崩壊、触法行為などにたどり着く人の多い依存行為は、社会的な逸脱と認識されているためだ。一般の人が日常的に触れられるのは、行政や医療機関が提供する情報か、著名人が触法行為で逮捕されたという報道程度。当事者から経験が共有されることはまれだ。

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