間一髪「五・一五事件」を逃れた、チャップリンの旅 『チャップリンが見たファシズム』書評

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『チャップリンが見たファシズム喜劇王の世界旅行1931-1932』大野裕之 著
チャップリンが見たファシズム 喜劇王の世界旅行 1931-1932(大野裕之 著/中公選書/2420円/320ページ)
[著者プロフィル]大野裕之(おおの・ひろゆき)/1974年生まれ。脚本家・演出家・映画プロデューサー・日本チャップリン協会会長。京都大学卒業。京都大学大学院博士課程所定単位取得。日本でのチャップリンの権利の代理店を務める。『チャップリン作品とその生涯』など著書多数。

1931年に公開されたチャップリンの映画『街の灯』。貧しい盲目の花売り娘に手術費として金を渡すため刑務所に入った男が、目が治った娘の前にみすぼらしい姿で現れる。娘は、小銭を渡したときの手の感触で男が恩人だと知る。思わず目頭が熱くなるエンディングだ。喜劇王チャップリンが喜劇映画を芸術にまで高めたことがわかる名作である。

1年4カ月に渡る世界旅行の全貌

本書は、31年2月から1年4カ月にわたったチャップリンの世界旅行の全貌を描く。故郷の英国に始まり、北アフリカ・インド・ジャワ島・日本と世界周遊の旅であった。喜劇王の旅行というとドンチャン騒ぎかと思ってしまうが、当時のチャップリンは想像を絶する大スターであり、訪問先では各界の名士がこぞって面会を求めた。

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