「AIが人間の仕事を奪う」は本当か?これからも必要とされる人が当たり前にやっていること

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だが、そもそもそれは比較できることではない。

それどころか、積み重ねられた経験知は、AIにはできないことを可能にするポテンシャルがあると考えるべきではないだろうか。

泥臭い仕事を最強の武器にする

与えられた業務を進めながら「こんな仕事は無駄だよな」と感じることもあることだろう。とりわけ新人時代は、そうした思いに翻弄されるものだ。しかし実のところ、無駄に見える仕事にこそ、仕事の本質が隠れているものでもある。

働いていくうえで重要なのは、そうした事実に気づけるか否か。それは、AI時代に経験知を武器にできる人と、表層的な作業者のまま終わる人を分かつことにもなるに違いない。

そして典型的な例として、著者は自身が経験した泥臭い仕事の具体例を紹介している。

新卒で配属された翌日になんの前触れもなく、先輩と二人きりでテレアポ業務を一日中行うことになったときのことだ。9時から18時まで、架電先リストを見ながらただひたすら電話をかけ続けたのだという。

しかも、当時配属された子会社には、なんの実績もなかった。「まずは資料を送って」と言われても、送る意味のある資料すらない状態でテレアポに専念しなければならなかったのだ。

営業の仕事がまったくわからないなかでのテレアポでしたが、正直「こんなことして意味あるの?」とは思いました。
やらされ感もありましたし、効率の悪さにも疑問を感じていました。
しかしながら、今思うと、その経験が私にとって営業という仕事の型を身体で覚える原点となっています。
(79ページより)

たとえばそういった仕事を続ければ、相手に断られても動じない胆力が身についていくだろう。会話のテンポや、第一声で相手の空気をつかむ感覚なども、知らず知らずのうちにわかってくる可能性がある。

そもそも営業である以上は、とにかく1件でも多くアポを取らなければならない。そのため知恵を絞り、なんとかして相手にメリットのある話を電話口でしてみようと試行錯誤を繰り返すことにもなる。著者の場合は、そういった状態が1年間続いたという。

こうしたとき、“大変さ”や“つらさ”にばかり注目してしまうと、「こんなの意味のない仕事だよな」と否定的に感じるかもしれない。しかし著者も述べているとおり、本質的に異なるのは「自分で試行錯誤している」という部分だ。

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