日清食品HDが苦戦!経営トップが「かつてないほどの危機感」と語る背景には、本丸である即席麺の不調が・・・高価格帯では韓国勢の攻勢も

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アメリカの即席麺市場は拡大を続けている。

イギリスの調査会社ユーロモニターによれば、16年に約28万トンだった小売販売量は25年(予測を含む)に約52万トンへと大きく増加している。また、即席麺はほかの加工食品や外食に比べて安価なことから、むしろ不況やインフレ時によく売れると言われてきた。アメリカではインフレが加速しており、一見有利な戦況に思える。

販売不振の理由について、日清HDは、「消費の2極化」の流れやマクロ環境の変化に対応しきれていない点を挙げている。

バンク・オブ・アメリカのデータによれば、25年以降、高所得世帯の消費支出は好調な一方、即席麺の主要顧客である低所得世帯では伸び悩んでいる。結果、低所得世帯は安価な即席麺すら買わなくなり、食材を買って自炊するなど、より経済的な食生活に移行しているという。

高価格帯では韓国勢が台頭

高価格帯品でも、日清HDは存在感を示せていない。ベース商品の需要が停滞する中、アメリカの即席麺市場の成長を牽引しているのは、簡便性や特徴的な味などでほかの商品と差別化された高単価な「プレミアム」商品だ。

このカテゴリーをリードしているのが、近年アメリカで勢力を拡大している「辛ラーメン」を看板商品とする農心や三養食品といった韓国系企業。辛さを追求した商品などを武器に、K-POPアーティストを起用した広告やSNSを通じて順調に需要を開拓している。価格が高くても価値があれば買うという層や、流行に敏感な若年層から支持されている。

日清HDも、高価格帯品を積極的に投入し収益性の向上に努めてきたが、競争力のある商品を投入できていない。挽回に向け、下期は新商品の投入やアメリカでの組織改革を急ぐ。26年度以降は新たな主軸となるブランドを育成すると同時に低収益商品の終売も行い、利益を回復させていく構えだ。

今後、日清食品はどのように立て直しを図るのか。そしてアメリカのみならずお膝元の国内で直面する収益性の課題にどう立ち向かうの。これらについて触れた詳報版は東洋経済オンライン有料版記事「日清食品HDが苦戦!社長が「かつてないほどの危機感」と語る背景には、本丸である即席麺の不調が・・・立て直しへの具体策はあるのか?」でご覧いただけます。
田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

食品・飲料・酒類・たばこ業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。前職は公務員で、教育格差や社会保障にも関心。映画とお酒、そのへんの野草を取って食べることが好き。

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