コンサルの提案に「現場を見てモノを言え」と部長が激怒→しかし、たった一言で沈黙した理由

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AIの進化により、現状分析や課題の抽出、解決策の提案といったプロセスは、人間よりもAIのほうが圧倒的に速く、正確に行えるようになりつつある。

「これをやらない理由」「これをやるべき理由」といった話は、AIが即座に分析して整理できてしまう。人間が正しい情報をインプットしさえすれば、あとは決断するだけ……という状況が作れてしまうのだ。

要するに、「決断する前のプロセス」については、AIがいくらでも代替できてしまう。そのため、AIが出した大量の提案を、人間が大量に決断していくという仕事の構造に変化していく。

逆に言えば、どれだけAIが進化しようとも、人間が決断するという仕事は変わらない。

「この投資が失敗したら、私が責任を取る」

「批判はあるかもしれないが、この方向で進める」

そういった「意思決定」だけは、いくらAIが進化しようとも、法律的にも社会的にも責任を負っている人間にしかできないのだ。

つまり、AIによって「決断する前のプロセス」が効率化すればするほど、決断しない人間がボトルネックになっていくということだ。そうなると、「現場を見ろ」と言って変化を拒み、決断から逃げ続けるこの部長のような存在は、AI時代には組織の大きなリスクとすら言える。

適切に運営された組織であればあるほど、こういった人間を排除する方向に動いていく。そして、決断して物事を前へ前へと進めていく人間だけを残そうとしていくだろう。

AI時代に価値ある人材になる人の特徴

そんなAI時代に価値を発揮する人材になるためには、どうすればいいか? 答えはすでに出ている。要するに、この部長の逆をやればよい。

リーダーシップを発揮し、変化に対応しながら、決断を繰り返して物事を前に進めていくことだ。責任を背負いながら、やるべきことを実現していける人間になるということだ。

実際のところ、この話はAIとは関係なく、はるか昔から仕事に求められてきたことである。「何を今さら」と思う人もいるかもしれない。

しかし大事なことは、AI時代において「決断」の価値が際立つということである。AIで加速した仕事において、これまでより遥かに多くの、より複雑なお題に対して、スピーディに決断を繰り返していかなければならない。

時代が変化しても変わらない「決断」という人間の価値を理解すること。それがAI時代における生存戦略になるのである。

三浦 慶介 株式会社グロースドライバー代表取締役社長

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みうら けいすけ / Keisuke Miura

1983年生まれ。一橋大学法学部卒業。サイバーエージェント、リヴァンプ、グロース上場企業スパイダープラスのCMOを経て2025年に独立。ゲーム・小売・飲食・教育・建設Techなど幅広い業界で事業成長を牽引。会員数150万を超えるヒットゲームの開発、数百万人が利用するCRMアプリの企画・開発、年間数十億円を運用するマーケティングチームの内製化、1年で生産性を160%改善する営業改革など、業種・業界を問わない事業成果を実現。現在は「AI時代の人材育成×事業戦略」を専門に、事業成長の伴走支援と知見の体系化に取り組む。著書に『AI時代に仕事と呼べるもの』(東洋経済新報社)がある。

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