コンサルの提案に「現場を見てモノを言え」と部長が激怒→しかし、たった一言で沈黙した理由
こうしてみると、「やらない理由を必死で主張する人」の本質が見えてくる。要するに「決断する重み」に耐えられないのだ。
リーダーシップを発揮すること、現状を変化させることには「決断」が伴う。場合によっては数億円の投資の責任を負ったり、会社の命運を左右するといった決断を、自分ではしたくないからだ。
しかし実際には、その決断をしないことで、事業が衰退していくことにもなる。
けれども、「決断をしなかった人のせい」というふうには見えづらい。決断をしなかったからといって、そのせいで事業が衰退したことを証明するのは困難なため、それを指摘できる人が少ないからである。
「決断しない」という決断を迫る
この話をふまえて、そんな「決断しない人」に対抗するにはどうすればよいか。Kさんの動き方が参考になる。
つまりは「『このまま変えない』という決断をしたのですね」と問うことだ。
やらない判断をうやむやにするのではなく、明確に「今後の結果の責任は、やらない判断をしたあなたにあるんですよ」と突きつけるのである。これを公の場で行うことで、うやむやな状態が「決断された状態」になり、停滞していた物事が動き始めるようになる。
Kさんはそれを理解していたからこそ、一見もっともらしい「現場が、現場が~」という主張に対して、痛烈な一撃を浴びせることができたのだ。そうして、3年もの間まったく動かなかったプロジェクトが始動することになる。
一方、重要なプロジェクトから外された部長は、この一件で信頼を失ってしまった。重要な仕事は任されなくなり、次第に存在感を失っていき、のちに退職したという。決断をしなかっただけではなく、感情にまかせて現状維持をしようとしたツケの代償は大きかったようだ。
ここまでは、従来の組織で起きていた問題だが、AI時代はこれを加速させる。実はAI時代において、こういった「決断をしない人」は、より肩身が狭くなっていくのだ。
その理由をこれから説明しよう。


















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