コンサルの提案に「現場を見てモノを言え」と部長が激怒→しかし、たった一言で沈黙した理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

言っていることはもっともらしく聞こえる。しかし前述のとおり、3年間も停滞している案件であり、いまだに現場を言い訳にするのは明らかにおかしい。その本音は要するに「これまでどおり、何も変化したくない」ということだ。

通常なら怖気づく人も多いだろうが、Kさんは非常に肝の据わった人である。即座にこう言い返した。

それはつまり、部長としてシステム刷新をしない決断をするということですね? 3年間ずっと案件を寝かせてきたと聞いていますが、今後もやらないという選択を、部長の判断のもとでするんですよね?」

「現場が大変ということでしたら、いつになれば着手できるのか、部長さんから計画をご提示ください」

こう言うと、部長は黙ってしまったという。結果的に、システム部長を蚊帳の外において、システム刷新は独立したプロジェクトとして進められることとなった。

特に日本企業では、このように「やらない理由を必死で主張する人」というのが多数いる。Kさんのように辣腕を振るうことができる人ばかりでもないので、多くの組織ではこの「やらない理由」のせいで物事が進まずに困っている。

今回はそんな人に対抗する手段を紹介するとともに、今後はAIによって、このような人たちが一掃されていく理由を解説する。

「やらない理由」を必死で探す人たち

そもそも、なぜこのような人が生まれてしまうのか。理由は主に「経営層のリーダーシップ不足」と「現状維持バイアス」だ

日本企業では、経営層がリーダーシップをとらないケースが多い。経営陣がわからないことを現場に丸投げして、「現場の創意工夫」でなんとかしようと考えてしまう傾向がある。

しかし、経営層にできないことを、現場ができるはずもない。今回紹介したケースでいうと、システム部長が幹部としてリーダーシップを発揮していれば、停滞せずに済んだという話だ。

また、現状維持バイアスとは「変化を避けて、今のままでも大丈夫だろう」と思い込みたい人間の心理である。当然、市場環境が変化をする以上、実際には変化を続けない限りは衰退していくのは自明の理である。にもかかわらず、現状維持バイアスを働かせてしまう人は後を絶たない。

次ページ「やらない理由を必死で主張する人」の本質
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事