《老後は都会生活が便利》投稿に地方民が猛反論、「電車の待ち時間がムダ」「荷物を車で運べない」との声も…"泥仕合"の中で見過ごされる視点

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一方で「高齢者」にとって運転はますます大変なものになっている。

ある程度の年齢を超えると「免許返納」の文字がちらつき始め、ニュースでは高齢者ドライバーの事故が取り沙汰され、ネットでも「高齢者は運転するな」の嵐。

そこで、家族からの勧めもあって免許を返納してみると、どうなるか。これが、なかなかの「地獄」なのである。

免許返納後の地方生活は「人権」を失いがち

ここからの話は私の親類の話や知人の話などを混ぜて作ったフィクションである。が、かなり実態に近いと思う。

Aさんはある中規模の地方都市の郊外に住んでいる。子どもは何年も前に自立し、今は夫婦で生活している。駅までは3キロほど。家の周りは住宅地で、歩いて行ける範囲にはコンビニが2軒。最も近いスーパーは1.1キロ先である。そんなこともあって、70歳後半までは自分で車を運転していた。しかし、一度ガードレールとの衝突事故を起こしてから運転に自信がなくなり、免許を返納した。

免許返納者には自治体から街を周遊するバスの「フリーパス」が与えられるが、近所のバス停にバスが来るのは1時間に1本。駅まで歩くこともできない。スーパーまでも微妙に遠く、バスで行かざるを得ない。近所にいる車の運転ができる友人(この人もそこそこの高齢者)と乗り合いでスーパーに連れていってもらうこともあるが、どうやらこの友人もそろそろ免許を返納するらしい。スーパーの移動販売も週に数回で、品数も限られる。バスで出かける気力や体力がないときは、コンビニ飯ばかりになることも増えてきた……。

……これが、免許返納後の生活である。

和歌山
和歌山県にて。駅前ですら閑散としており、車なしの生活はかなり不便だと想像せざるを得ない(写真:筆者提供)
次ページとはいえ、都心部では都心部なりの苦労も
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