ラピダス支援に象徴される投資偏重型の産業政策
高市内閣が掲げる成長戦略は、17の重点分野を定め、政府支援を通じて民間投資を誘発することとしている。具体的には、AI(人工知能)・半導体、量子、バイオ、航空・宇宙、防衛、GX(グリーントランスフォーメーション)、港湾ロジスティクスなど、国家戦略上の重要分野を幅広く対象としている。
従来の「新しい資本主義実現本部」を廃して「日本成長戦略本部」を司令塔に据えたことは、産業政策へ大きく舵を切ったことを象徴する。政府はこれら分野での投資を促進するため、減税や補助金、政府保証など多様な支援策を動員するとしている。
また、スタートアップ支援、金融を通じた潜在力向上、労働移動、労働市場改革、賃上げ環境、大学改革、人材育成、国際競争力強化、女性の働き方改革、サイバーセキュリティーといった、分野横断的な課題も挙げた。
しかし、日本経済が直面する供給制約の本質は、これら先端分野の投資不足にあるのではない。より深刻で、広範かつ構造的な「人材不足」だ。OECD(経済協力開発機構)、内閣府、経済産業省などの統計を参照しても、日本の供給力低迷は「労働投入の減少」と「人材育成力の脆弱化」に根差していることが明らかだ。高市内閣の成長戦略は、その核心部分に十分に対応していない。
政府の産業政策の典型は、最先端半導体の量産を目指すラピダスの支援だろう。



















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