それにもかかわらず、シティタワー品川ほど踏み込んだ転売・賃貸の規制は設けられなかった。この点については、東京都の対応を「不十分」と批判し、「実質的には不作為に近い」とする見方もある。不作為とは、一般に行政庁が法的な義務を果たさないことを指す。
不動産関連融資の動向がわかるように
転売そのものが直ちに違法とまでは言えず、道義的な問題として捉えるのであれば、不動産価格の高騰を抑える方向で手を打つほかない。そのためには、過度なレバレッジを伴う資金の流れを絞ることが有効であり、ここで重要な役割を担うのが金融庁だ。
金融庁と日本銀行は、法人向け貸出明細など高い粒度の融資データを収集・共有する「共同データプラットフォーム」を構築し、2025年3月期データから本格的な運用を始めている。
これにより、金利や融資条件といった詳細な情報を含む貸出の実態を、これまでより精緻に把握できるようになった。不動産関連融資の動向や、短期売買を支える過度な融資も、より把握しやすくなる。
投機対象となっている物件の登記簿には金融機関の抵当権が設定されるため、こうしたデータと組み合わせれば、どの金融機関がどのような融資を行っているのかを特定するのは容易だ。
それにしても、中央区や港区、東京都は同じ事態が起きているのに、なぜほとんど何の反応も示さないのだろう? 今起きていることはバブルのときと変わらない投機的な取引である。不動産業界に学習効果がないなら、同じ轍を踏むことになってしまう。その際にはまた多くの倒産が生じることだろう。
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