中国人が日本の不動産を買わなくなると価格は暴落するのか? 主に投機的に売買している人々の"正体"

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移民先の第一候補は本来アメリカなのだが、トランプ大統領就任以来、米中関係と移民政策に方針転換があり、実現しにくい現実がある。そこで、日本は有望な出国先となっている。

日本では、在留資格の種類や経歴によっては、おおむね5年前後の在留で永住許可を申請できるケースもある。この永住許可がいざというときに中国を出国できる「錦の御旗」となるので、目的は明確である。

出入国在留管理庁の統計によると、在留する中国人はここ数年、年間5万~6万人前後のペースで増加しており、2025年6月末には約90万人に達している。このペースが続けば、2027年前後には在留中国人が100万人規模に達する計算になる。

その中でも「経営・管理」ビザを取得する中国人は多く、日本での事業運営を通じて一定規模の資本を日本に投下しており、不動産購入(民泊用物件など)もその一部を占めている。

投機的に売買するのは日本人や日本法人が中心

日本での滞在先として購入するマンションは都心部に集中している。資産の保全が目的でもあるので、登記簿を見る限り、転売の数は少ない。マンションを投機的に売買しているのは、主に転売や投資を目的とする日本人や日本法人であり、その数は都心マンション取引の3割程度に上っている。一方、中国人は全体の1割で、影響力は小さい。

価格の高騰を、都心3区の中古マンションの成約単価の前年同月比で見ると、年率25%となる。この値上がり幅は複利的に進むため、3年で2倍、5年で3倍になる非常に早いペースである。金融緩和の影響があっても、10年で2倍にならなかったほどだったことからも、いかに直近1年が急騰しているかが分かるだろう。

これに対して、千代田区が大手不動産会社が加盟する不動産協会に要請を行った。その内容は、①購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は物件を転売できないように特約を付すこと、②同一建物において同一名義の者による複数物件の購入を禁止することだった。

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