「結婚できないかわいそうな人」——介護現場で続いた"シングル・子なし"へのモラハラ。多様性拒む「家族前提」が生む分断

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悩む介護職の女性
30代でシングルでいると周囲からは「結婚できないかわいそうな人」という目で見られた——。そんな経験をした女性に話を聞きました *写真はイメージです(画像:nonpii / PIXTA)
本連載は多様な角度から子どもを「産む・産まない」「持つ・持たない」論に迫るシリーズです。

首都圏に住むバツイチ・シングル、40代のAさんは現在、とある医療機関で管理栄養士として「やればやるだけ、仕事が評価につながる」充実した生活を送る。しかし、昨年春に転職するまで働いた介護施設では、同僚たちから結婚や出産を催促するモラハラを受け続けたという。

「結婚できない、かわいそうな人」

若いときは、結婚や出産は自然にするもの、と思っていたAさん。大学時代に付き合っていた男性と、卒業後にすぐ結婚し専業主婦となる。

だが「そろそろ子どもを」と考え始めたころ、夫の不倫が原因で離婚。シングルになったAさんは取得していた管理栄養士の資格を生かし、介護施設に就職したものの、職場の同僚たちはAさんに冷ややかな反応を示した。離婚のことは話していなかったため、「30過ぎても結婚できない人」と思われていたようだ。

そんなこともあって、別の介護施設へ転職。だがここでも「まだ結婚できない、かわいそうな人」という反応がかえってきた。初日に60代の職員から、「ホントなら、小学生ぐらいの子どもがいる年齢だもんね」と言われたことが忘れられない。その後も「仕事ばかりして売れ残った人」「なんで35歳を過ぎても1人なの?」などと直接、言われ続けた。

職場で30歳を超えてシングルなのはAさんだけ。そのため、別の同僚と職場の飲み会を一緒に企画した時は「みんなは家庭があるから、平日の夜に開くのは厳しいと思う」などと嫌味っぽく言われることがあった。

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