「産むも・産まぬも」——。作家・山内マリコ氏が見つめた"地方女子のリアル"。子どもを巡る価値観を社会と自分の内側から問い直して

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山内マリコさん
『地方女子たちの選択』を手がけた山内マリコ氏に話を聞いた(写真:今井康一撮影)

子どもを産める年代の女性人口に注目した「消滅可能性都市」がクローズアップされる今、地方出身・在住の「地方女子」にも目が向けられている。タイムリーに今年7月、出版されたのが『地方女子たちの選択』(上野千鶴子・山内マリコ著、藤井聡子協力)。

そこで2012年のデビュー作『ここは退屈迎えに来て』以来、地方女子を主役にした小説を発表してきた山内マリコ氏に、地方女子の「産む」「産まない」の現状について聞いた。

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背負わされる「子どもを産み育てる役割」

同書は、山内氏と上野氏の出身地、富山県にフォーカスし、地方女子の思いを伝えるノンフィクションだ。核になるのが、藤井氏がインタビューした富山出身者・富山に残った人・UターンまたはIターンで富山在住の人のいずれかに当てはまる、さまざまな年代の女性14人のライフストーリー。

「富山が好き」と語る人も多いが、印象に残るのは女性が地方で生きる困難さだ。要因の一つには、子どもを産み育てる役割を背負わされることがある。

14人のライフストーリーを知り、山内氏は「自分は富山の現実を全然わかっていなかったのか」と衝撃を受けた。

山内マリコ氏
山内マリコ(やまうち・まりこ)/小説家、エッセイスト。1980年、富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。2012年『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『あのこは貴族』『一心同体だった』(いずれも集英社文庫)、『メガネと放蕩娘』(文春文庫)、『結婚とわたし』(ちくま文庫)、『マリリン・トールド・ミー』(河出書房新社)、『逃亡するガール』(U-NEXT)など多数(写真:今井康一撮影)
連載「産むも、産まぬも」では、出産・子育て・パートナーシップ・キャリアなど、“産む/産まない”という選択にまつわる経験や考えを語ってくださる方を募集しています。性別や立場は問いません。「誰にも話せなかったことを、言葉にしてみたい」「同じように悩む誰かの力になりたい」そんな思いを持つ方の声を、丁寧に取材・掲載します。ご協力いただける方はこちらのフォームからご応募ください。
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