50代｢"ミッドライフ･クライシス"でしんどい…｣ 《中年の危機》を真に受けた人が陥っている"本当の問題"

……と、ここまでが、調べてわかったことです。詳しく説明しましたが、正直なところ、私はミッドライフ・クライシスという言葉を、気にしすぎないほうがいいと思います。

そういう状況に陥る可能性もあることや、乗り越える方法を探さねばならないところまでは同意ですが、ミッドライフ・クライシスで陥る問題って、本当に中年期になった途端に起こる問題でしょうか？ 私は年代にかかわらず若い頃から起きてきた問題だと思うんです。

先に挙げた事例に沿って1つずつ比べるなら、若くても不規則な生活で体を壊す人はいますし、運動不足で不健康な人もいます。家族の問題を抱えている人もいます。氷河期世代などは定年を迎える前から仕事に関する問題で苦しんでいます。

人間関係の悩みは、それこそ年齢に関係なく一生付き合っていく悩みでしょう。

中年期まで人生を一度も振り返らない人はいるのでしょうか？ 今までも進路や就職、さまざまな転換期で過去を振り返っては悩んできたはずです。

価値観や人生の目的に葛藤して、自分探しをする若い人もいます。そして、中年期になっても先に述べたような状況に陥ることなく、活力を保ったままパワフルに生活している人もいます。

私の周りにも、子育てに一区切りがついて第二の人生！ と言わんばかりに、好きなことを始めた人はたくさんいます。

それは「呪い」をかけているだけ

私は、こういった「レッテル」を貼ることで、中年期になったら「悩むのが当然」「ミッドライフ・クライシスになりやすい」と思い込むほうがよくないと思うんです。こうしたレッテルは、「呪い」と同じです。

ミッドライフ・クライシスで起こる問題は、すべての年齢の方に起こりうる問題なので、「中年期に起こりやすい危機」だと、自分に呪いをかけないでほしいのです。

「この年になると、こういうことが増えて、こういうふうになるよ」と言われたら、どんなにうまくいっている人でも気にしてしまいます。

うまくいってない人は「ああやっぱり！ 私のせいじゃなく年齢のせいなんだ！」と一瞬は気持ちが救われるかもしれませんが、それは解決策ではありません。「呪い」をすんなり受け入れやすくしただけです。