「運動すれば安心」で見落とす寝たきり予防の盲点――国内のフレイル研究第一人者が示した調査結果からわかった"習慣"

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そのとき大事になるのが、退職後の人間関係。現役時代のうちに、地域に友人関係を作っておくことが欠かせません。

そのためには、どうしたらよいでしょうか。

子どもがいる人は、女性だけでなく男性も、積極的に学校や地域の活動に参加していくことです。それによって、地域に知りあいを増やすことができます。1つつながりをつくると、子どもが成長したあとも、たとえば地域の祭で出会ったり、あるいは地域のボランティア活動などに声をかけられることがあるかもしれません。

一方、定年退職まで地域につながりを持ってこなかった場合は、どうするとよいでしょうか。大事なのは、勇気を持って一歩踏み出すことです。

先ほどお話しした「知人の友人」の話には続きがあります。

いつものように、ブラブラと行く当てもなく散歩をしていると、地域の資料館を見つけました。もともと考古学や遺跡などに興味があった彼は、センターにふらっと入り、展示品を見学しました。すると、ボランティア募集の張り紙が目にとまりました。

少しの勇気がフレイルを防ぐ

毎日、やることもなくブラブラしているよりは……。そう考えた彼は、思い切って職員さんに話を聞くことにしたのです。

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それからは週に1回、来館者の案内や体験講座のお手伝いなどでボランティアをすることになりました。他の日は、知識を身につけるために図書館へ行って本を読んだり調べものをしたりする。このボランティアを通して友人も増え、今は他のボランティアや趣味のサークルにも参加しています。

「あの日、勇気を持って一歩踏み出したから、今、人生を楽しめているよ。もしも、ボランティアという出会いがなかったら、どうなっていたかわからない」

そう話しているそうです。

人間関係ができている輪の中に入っていくのは、何歳になっても勇気のいることです。でも、ほんの少しの勇気を持つことで、フレイルを予防できるのだとしたら、その勇気は自分自身の健康寿命を守るためにも欠かせない力となります。

宇都宮 啓 医師、財団法人日本食生活協会代表理事、公益財団法人日本建築衛生管理教育センター理事長

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うつのみや おさむ / Osamu Utsunomiya

1960年、北海道生まれ。1986年、慶應義塾大学医学部を卒業後、厚生省に入省。1991年、チュレーン大学公衆衛生・熱帯医学大学院へ留学し、翌1992年よりカリフォルニア大学サンフランシスコ校保健政策研究所客員研究員。その後、厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課課長補佐(「健康日本21」策定に従事)、厚生労働省大臣官房厚生科学課主任科学技術調整官などを経て、岡山県保健福祉部長、厚生労働省老健局老人保健課長、保険局医療課長、成田空港検疫所長。大臣官房生活衛生・食品安全審議官などを歴任。2008年と2014年の診療報酬改定や2012年の介護報酬改定に携わり、2018年、厚生労働省健康局長に就任し、翌年退官。

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